多くの企業が人材育成の重要性を認識

 人材育成とは、単に仕事ができる人材を育てることではなくて、企業の経営戦力となり、社会に貢献できる人材を育てることを意味します。そのため、会社のルールや仕事の仕方を教えることだけでは人材育成になりません。人材育育成によって従業員が最大限の能力を発揮できるようになれば、会社は生産性の向上や利益に拡大などさらなる成長が見込めるでしょう。しかし、今、日本が直面している課題である人口減少による人手不足、それに伴い業務に忙殺され人材育育成にかける時間の確保が困難であるなど企業の現実は厳しいものがあります。そんな中、東京商工会議所人材・能力部研修センターでは、当該センターでの研修講座を利用した企業から「研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート」を実施し集計結果を発表しました。社員に対する研修・教育訓練を「とても重要」(58.0%)「まあまあ重要」(41.2%)ほぼすべての企業が重要と認識していることが分かりました。一方で、今後2~3年程度を見据えて対象者一人当たりの予算を「増やしたい」とする企業は約半数(48.2%)になっています。

 

 

 今後強化していきたい研修・教育訓練の内容・テーマに関しては「リーダー社員研修(40.9%)」、「管理職向け研修(39.8%)」「管理職向け研修(39.2%)」を挙げる企業がいずれも4割程度あることから、企業は今後、中堅社員~管理職を対象として研修・教育訓練を強化する意向がうかがえます。また、「業務のデジタル化(DX化、43.4%)」や「業務効率化・生産性向上(37.6%)」を挙げる企業が4割程度あり、「新規事業開発・マーケティング(21.2%)」等を含め、業務改善や事業変革に関する人材の育成を重要視することもうかがえます。約3割の企業が「研修・教育訓練の方針や計画がなく、体系的に行われていない」を挙げていることから、経営戦略と人材戦略の紐づけのためにも、研修方針や計画の策定を推進していくことが重要です。業務多忙や担当人材・ノウハウの不足など社員の研修・教育訓練の実施に際しての課題を多々あるとは思いますが、人材育成の仕組みができていない会社は、求職者からより選ばれづらいという懸念に繋がります。