人手不足の状況と新卒者採用に関しての調査

 人材の安定的な採用・育成・定着は、今や企業経営における最大の課題となっていますが、少子化・清算年齢人口の減少の影響もあり、新卒者採用は激戦状態になっています。「第38回ワークス大卒求人倍率調査2022年卒」(株式会社リクルート)によりますと2022年3月卒業の大卒求人倍率は、1.50倍と前年度を0.03ポイントの微減となりましたが、コロナ禍の影響による企業の採用意欲の低下が懸念されましたが、影響はわずかという結果でした。大手企業では採用意欲が回復傾向にあり、学生側にもコロナ禍で安定を求める傾向で大手企業を希望する学生が増えつつあります。調査では、従業員300人未満を希望する学生が前年比29.1%減、300人~999人の企業を希望する学生が前年比17.2%とかなり減っています。これから中小企業が新卒者採用をするとなった場合、既存の採用手法で求める人材を確保することは、困難になりつつあります。先月28日に、日本商工会議所では全国の中小企業6007社(回答企業2880社)を対象とした「人手不足状況および新卒者採用・インタシップの状況」調査を行い、結果を公表しています。2021年度採用募集を行った企業は全体の51.0%でした。また募集結果は、「予定人数が採用できた」(45.6%)、「予定人数を採用できなかった」(34.6%)、「まったく採用できなかった」(19.9%)でした。

 

 

 「人出が不足している」と回答した企業の割合が64.9%、前年調査と比べて15.0ポイント、前回調査(2022年2月)と比べて4.2ポイントの増加という結果でした。過去調査の最高であった2019年調査(66.4%)に迫る、再びコロナ禍前の人手不足の状況に戻っています。業種別では、「建設業」(77.6%)、「運輸業」(76.6%)、「介護・看護業」(74.5%)で、人出が不足していると回答した割合が高かったようです。人手不足の対策として、「業務プロセスの見直し」「社員の能力開発」「IT化等の設備投資」などの、生産性向上・業務効率化に取り組む企業が59.2%と高い数値となっています。求職者に対して魅力ある企業・職場となるための取り組みは、「賃上げの実施」(57.0%)、「福利厚生の充実」(45.9%)、「人材育成・研修制度の充実」(41.1%)などがあります。大手企業を中心にインターシップの重要性が高まっていますが、中小企業においては人員の確保が大きな課題となっています。新卒者採用を行った企業の48.4%でインターシップが実施されていますが、今後の採用活動に採用できるとされる5日以上のインターシップ実施企業は28.7%の止まっています。深刻な採用難の中、いかに人材を採用・活用・定着するかの真剣な議論が求められます。