労働時間についての制度設計

 我が国では、急速に進む少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の減少が大きな課題となっています。加えて、東京一極集中の傾向が継続し、地方において、人口減少や過疎化は特に深刻な状況となっており、企業においては人材の確保の苦慮する事態が続いています。人生100年時代を迎え多くの人たちの仕事を選択する視点も変化して、福利厚生の充実度や自由な時間が多いことなどの家庭生活に関する重要度は高まっていますが、仕事で自分のやりたいことができる、人の役に立つこと、また、長く続けられることなど仕事に対する意欲は決して失っているとは言えないようです。(内閣府:若者白書より)仕事よりも家庭、プライベートを優先したい若者が増加する中、コロナ禍の影響により多様化、ますます時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のニーズが強まっていくようです。企業においてはデジタル化の進展に対応できる、創造的思考等の能力を有する人材が活躍できるような魅力ある人事労務制度を整備していくことが求められます。従来の労働時間の考え方・管理の方法では対応できないことが、多々、起きようとしています。

 

 人材不足の状況下で、ぎりぎりの人材で業務を回している企業も少なくないかと思います。また産業構造の変化・デジタル化の加速、新型コロナの影響による生活・行動様式の変容が労働者の意識や働き方に影響を与えていますが、多様な働き方を可能とし、多様な人材の労働市場への参画を可能とする企業風土の醸成が、時間はかかりますが必要な時代です。政府は、働き方改革関連法で導入・改正した時間外・休日労働の上限規制やフレックスタイム制等について、改正の施行5年後に見直し規定に基づき施行状況等を把握したうえで見直しを検討しています。日本の労働時間の考え方は、長時間労働を規制する方向に向いていますので、前のように36協定による長時間外労働を容認するような制度には戻らないと考えます。5月の経産省「未来人材ビジョン」の方向へ進めば、これからの仕事は複数の労働者が主体的に仕事を進める「プロジェクト展開」になってきます。デジタル化も一挙に進みますし、労働時間も労働者の裁量に任せるような制度設計が必要になります。企業の生産性も一挙に上がる可能性も高まり、最近、こんなことを考えていると楽しくなります。