転職増加、企業の人材流出を考える

 ミドル(30代から50代)の管理職、または専門職で転職を考えている方にとっては、新型コロナウイルス感染症がまだ収束していない今が、果たして転職にとって有利な時期かどうか気になるところだと思います。しかし、コロナ禍で落ち込んだホワイトカラーの新規求人数も、以前と同じ水準に回復し、現在の転職市場の環境は決して悪くなく、今後も堅調に推移すると予測されます。ライフスタイルの変化や最近の物価高騰の煽りを受け、家庭での支出の増加に会社の給与等の処遇に不満をぶつける人が増えているようです。キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関Job総研を運営する株式会社ライボでは、このたび、「転職と年収に関する実調査」を実施し結果を公表しました。それによりますと、転職経験者の58.2%が「転職で年収が上がった」と回答し、「下がった」と回答した21.7%を大きく上回っています。また、転職で成功した経験の質問では、成功したまたはやや成功したの合計が88.0%と「経験とスキルがあれば年齢関係なく転職で輸入をあげられる」とする多くの意見を裏付ける結果となっているようです。近年では転職が当たり前の時代になり、目的としてキャリアップや環境を変えるといった意見もありますが、年収をあげるために手段の一つとしての選択が最も多い結果となりました。

 

 

 過去に転職経験のないと回答した人たちに「今後転職することを考えているか?」について聞くと、60%の人が「転職する予定がある」とし。「転職する予定がない」は、40%の結果になりました。年齢別では30代(80.4%)と最も多く,40代(70.6%)50代(70.6%)と続き、20代(55.4%)が最も少ない結果となりました。コロナ禍の影響が薄れつつある現在から、転職需要は高まったと思われます。転職経験者に成功事例としてあげた内容は、「年収が上がった」(66.7%)、「福利厚生が充実した」(37.1%)、「職場で気が合う仲間ができた」(32.3%)、「残業が減った」(31.4%)、「テレワークで働けた」(26.4%)、上司との相性があった」(24.5%)、「役職が上がった」(15.6%)とのことでした。以前の会社で得られなかったことだとすれば、企業の人事流出を防ぐためには、福利厚生や残業の削減などの取り組みも重要になってきますが、何よりも「風通しの良い職場環境」の醸成が最重要課題かと考えます。個人の強みが活かせる組織風土・・・働き方改革、未来人材ビジョンにその答えがありそうです。