

旧来の日本型雇用システムからの転換は、厚生労働省における「働き方改革」同じ方向を目指すもので、自ずと働く人に求められる能力も大きく変わっていくことになります。また、組織と働き手の関係も、現在の同質性を求めるモノカルチャー、閉鎖的な関係から、知・経験の多様性を重視される関係となり、働き手から選ばれる組織へと変わらなければ、働き手の確保もままならない状況になります。「人材未来ビジョン」では、日本企業が感じる人材マネジメントの一番の課題として、「人材戦略と経営戦略と紐づいていないこと」を挙げています。その他いくつかの課題をみても「日本型雇用システム」がもたらす弊害と思われます。人材版伊藤リポートでは、「経営戦略と人事戦略の連動」「As Is-To beギャップの定量把握」「企業文化の定着」の3つの「視点」を挙げています。加えて、これらを可能とする5つの「共通要素」が整理されています。その一つである「動的な人材ポートフォリオ」は前述の「多様性が重視される組織」に相通じます。その他、「知・経験のD&I」「リスキ・学び直し」「従業員インゲージメント」「時間や
場所のとらわれない働き方」が挙げられています。人的資本経営の実践は、働き方改革の3ステップに合わせて施策を講じれば、3年程度で方向性が決まり2030年以降、人的資本経営の実現ができると思われます。