デジタル推進のための人材育成・能力開発強化

 デジタル技術を活用している企業の8割越が、デジタル推進のための人材育成や能力開発を積極的に取り組んでいる実態がこのほど労働政策研修・研究機構の調査で分かりました。「ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関す調査」として、昨年12月14日から24日(調査は11月1日時点)まで全国標準産業分類による「E 製造業」に分類される全国の企業3,667社(有効回収率18.4%)の回答結果を公表したものです。「強化した取り組みがある」とした企業(84.1%)に具体的な取り組みの内容(複数回答)は、「作業標準書や作業手順書の整備」(47.3%)と最も高く、次いで「OFF-JTの実施」(42.6%)、「身につけるべき知識や技能の明確化」(36.5%)、「ベテランから継承すべき技能・技術についての指導・訓練」(32.7%)、「従業員のスキルマップや人材マップの整備」(27.9%)など製造業に限らず、あらゆる業種で必要な取り組みです。「働き方改革」の取り組み第1歩が労働環境の整備、労務課題の解決、能力開発の仕組みを含む人事制度の構築です。第2のステップがまさに製造業の具体的施策による業務改善等の取り組みです。続く「新規の業務や課題のチャレンジ」(27.2%)は、働き方改革第3のステップの入口になります。

 

 

 デジタル技術の活用に向けたものづくり人材の確保に向けて実施していることについては(複数回答)、①「自社の既存人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う」が48.5%、②「デジタル技術に精通した人材を新卒採用する」が9.9%、③「デジタル技術の精通した人材を中途採用する」が26.6%、④「出向・派遣等により外部人材を受け入れる」が5.4%になっています。規模別に見ると、①の実施率はいずれの規模においても5割前後と大きな差は見られませんが、一方に②や③については規模が大きくなるほど割合が高くなっており、特に従業員300人未満と300人以上で割合に大きな差が見られます。中小企業になるほど、外部からの人材の登用が難しく、既存の人材の育成に注力せざるを得ない実態が垣間見れます。社内でのデジタル技術人材を自前で確保している企業で、最も必要とされるレベルは「社内で、独力で課題発見と解決ができるレベル」が46.1%と最も高かったようです。この解決には、製造に関する技術的な教育に加え、マネジメントに関する教育が必要と思います。どの業種にも同じことが言えますが・・・