
帝国データーバンクでは、3月にまん延防止等重点措置が解除された2022年4月の景気動向DIを発表しました。4月の景気DIは、前月比0.4ポイント増の40.8となり、3か月ぶりに改善した3月に続き2か月連続で改善しました。3月のまん延防止等重点措置が解除され人出が増大したことや県民割などの各種施策の実施により、外食などの屋外での消費活動が活発化したことなどが要因と考えられています。一方で、燃料価格もの高止まり、原材料費の高騰、急速な円安の進行などにより、仕入単価が全規模、全10地域、28業種で過去最高を記録し、企業収益を圧迫し景況感の下押し要因になっていると分析しています。今後1年程度の国内景気は、ロシア・ウクライナ情勢の行方や原油・原材料価格の高止まり、急速な円安の進行など下振れリスクの懸念材料となる中で、企業の56%が円安デメリットを訴えており、販売価格の転嫁や企業収益力の影響を注視する必要があると分析しています。

今後は、円安によるコスト負担の増加が懸念されるものの、穏やかな景気の上向き傾向で推移されると考えます。5月10日に発表された日本商工会議所・東京商工会議所が発表した「人手不足の状況および従業員への研修・教育訓練に関する調査」の集計結果によると、人手が「不足している」と回答した企業は60.7%となり、前年同時期(2021年2月)の調査と比べて16.3ポイント増加しました。この数値はコロナ感染拡大直前の2020年2~3月の60.5%を上回っており、人手不足の状況が戻ってきているようです。また近年、初任給の引き上げが続いていますが、今春の引き上げ状況について労務行政研究所の「2022年度新入社員の初任給調査」によれば、旧東証1部上場企業で回答があった201社のうち全学歴で引き上げた企業が21.8%と過去10年で最も高い率となりました。高校卒(事務・技術)一律¥175,234、大学卒(事務・技術)一律¥216,637となり大卒の初任給20万円と言われた時代は遠い過去、新卒採用において初任給は重要なファクターですので、中小企業ではかなり厳しい状況になっています。