
職場のハラスメント防止に関する法律等の施行から1年が経過していることから、経団連ではこの度、企業の
おける取り組みについて、400社の調査結果から今後の政策検討の参考に資するとともに効果的な取り組み例などを公表しました。パワーハラスメントを5年前と比較した相談件数の結果は、「増えた」が44.0%と最も高く、次いで「変わらない」が30.0%という結果になりました。セクシャルハラスメントに関する相談件数は、「変わらない」が45.3%と最も高く、次いで「減った」が28.8%となっています。パワーハラスメントの相談件数の増加について、法施行に伴う社会の関心の高まりや相談窓口の周知の強化など経営トップメッセージによる意識向上、相談しやすい環境の醸成などを理由としてあげています。
ハラスメント防止、対応についての課題について、特に当てはまる上位3つを選択したところ、「コミュニケーションの不足」(63.8%)、次いで「世代間ギャップ、価値観の違い」(55.8%)、「ハラスメントの理解不足(管理職)」45.3%が続きました。リモートワークによるコミュニケーションの希薄化からのすれ違いやお互いの信頼関係が構築されないことから、上司からの注意や指導をパワハラの捉えて相談するケースが増えているようです。理解不足による相談として、マネジメント上の問題をハラスメントとして提起するケースや指導・指摘や上司や周囲の言動で本人の意に沿わないという理由で主張するケースなど様々な要因が考えられます。

パワーハラスメントとは職場における優位的な関係を背景とした言動で必要かつ相当な範囲を超えたことにより、労働者の就業環境が害されることを定義されています。世代間ギャップや多様な価値観の違いにより、どの程度をハラスメントとするのかの当事者双方のギャップが大きくなっているの事実です。指導とハラスメントの境界線の線引きが難しくなっているようです。とはいえ上司の適切な指導に部下からのハラスメントの訴えを恐れるばかりに、指導を躊躇したり萎縮することは間違いです。
取組み事例として、目標管理シートを用いた1ON1ミーティングの実施による部下と上司の関係性を高めることギャップを解消したり、コミュニケーション能力向上のための研修、アンガーマネジメント研修など感情をコントロールする能力向上のための研修等が考えられます。ハラスメントの理解促進に効果的な取り組みとして、厚労省の提供するツールを使った職場単位、人事階層別のハラスメント勉強会の実施やeラーニングの実施などが挙げられています。実際の発生した事案等の共有化や調査結果の社内公表などの考えられます。日本のメンバーシップ型雇用では、指揮命令関係、人と人、人と組織による関係性から仕事を進めることが基本あります。したがって上司・部下のボタンの掛け違いが起こらないようなハラスメントの取り組みは必要です。