飲食店などの人出不足が深刻に・・

 先日、東日本を中心に営業展開しているステーキ店へランチに行きました。フォーク・ナイフ・水のサービングをロボットが行っており、人出不足を見据えた省力化の取り組みが広がっていることを感じました。今年10月より、最低賃金の引き上げが実施されました。さらに緊急事態宣言などの解除で人流抑制政策が緩和されつつあるなか、飲食店などの個人消費関連の業種では再び人出不足感が高まっているようです。帝国データバンクでは、2006年5月から雇用の過不足に状況に関する調査を行っていますが、今回、人出不足に対する企業の見解についての調査も併せて実施し、2021年10月の結果をもとにとりまとめ発表しました。

 

 アルバイトやパートなどの非正規社員が不足している企業は、全産業の25.1%になりました。特に10月から営業時間の制限が段階的に解除になっている居酒屋などの飲食店では、非正社員の人出不足割合が63.3%と前月9月の44.1%と急上昇しているようです。また、アパレルなどの「繊維・繊維製品・服飾品小売」では、47.1%と前月から13.8ポイント増、「旅館・ホテル」では、35.9%と前月から22.3ポイント上昇するなど、個人消費関連の業種で非正規社員の人出不足感が大きく上昇し、深刻な状況になりつつあります。飲食店はコロナ禍以前より、留学生など外国人労働者に依存することが多かったようですが、もともとの課題が現実化してきたようです。

 

 

 正社員の不足している企業は、全産業で43.8%になりました。正社員の人出不足割合は、2020年5月の最初の緊急事態宣言を底にして上昇傾向が続き、2年前の水準(50.1%)に近づきつつあるそうです。生産年齢人口の減少に伴い、この傾向は加速すると思われます。業種別には「農・林・水産」が51業種中もっとも高い割合である64.2%になりました。次いでIT人材の不足が影響している「情報サービス」が63.9%、職人の高齢化などが懸念されている「建設業」が62.1%と続きました。コロナ禍前より高年齢による人出不足が高水準にあった業種で、再び人出不足が再燃することになっています。

 

 2030年には1047万人の人出不足の可能性も指摘されていますが、コロナ禍後にも今まで日本が経験したことないような人出不足が現実化してくると思います。帝国データバンクの調査では「デジタル化も重要であるが、外食産業としては、今後の労働力減少を見据えたロボット化も併せて進めていく必要がある」(西洋料理店)との意見も見られました。コロナの影響は、女性活躍といって持ち上げていたパートなどの非正規女性の雇用を大幅に減らし、女性を雇用に調整弁として使ったといわれても仕方のない状況にあります。今後の人出不足解消の対策として、シニア、女性、外国人、生産性向上が考えられますが、現実的なものとなると「女性」「生産性向上」ではないかと思います。やれることは多くあります。