高齢者雇用の実態と課題

 今年4月から高齢者雇用安定法が改正され65歳までの雇用確保が義務化され、70歳までの就業確保が努力義務化されました。65歳までの高齢者雇用の状況は、令和2年高年齢者雇用状況調査(厚労省)によれば、継続雇用制度の導入(76.4%)他、定年引上げや廃止などほぼ100%に近い状況にあります。60歳以上の常用労働者は、団塊の世代が70歳代に到達したこともあり平成28年から令和2年までの4年間で、70歳代の常用労働者が40.3万人増加しています。これは同期間の60歳台前半(22.2万人)、60歳台後半(22.2万人)を大きく超えています。少子高齢化の進展に伴い、労働者の増加≒高齢の常用労働者の増加とうのが実態です。

 

  株式会社マイナビでは、この度、現在就労している40代~70代男女を対象とした「ミドルシニア/シニア層の就労者実態調査(2021年)」を発表しました。60~64歳の半数以上(50.8%)が、65歳を超えても働き続けたいという意欲が見られました。ミドルシニア/シニア層の就労目的は、「自分の生活費のため」(68.8%)が最も高く、次いで「貯金をするため」(51.2%)「家族の生活費にため」(50.9%)となっています。70歳代は特に健康維持や時間の有効活用、人との交流や充実感を得るためなど生活の充実ために働く傾向が強いようです。雇用形態別にみると全体と比較して正社員は生活費やローンの支払い、子ども関連の支出といった生活防衛のために働いている傾向が強いなど、雇用形態や年代によっては働く目的が大きく異なることがわかりました。

 

 

 日本人は国際的にみて働くことが好きな民族とみられがちですが、今年3月の内閣府から発表された「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」から検証してみたいと思います。先進国の中では高齢者の就労率が最も高く、他の国と比べても10ポイント以上高いようです。今後も収入を伴う仕事をしたいとする就労意欲も先進国中では最多ですが、就労を希望するトップの理由も「収入がほしいから」は、他の国に比べて20ポイント以上の差があります。「仕事そのものが面白いから、自分の活力になる」が他の国においては就業理由のトップになっていますが、日本では半数以下の10%台という結果です。老齢年金の低さが根底にあると思われます。

 

 マイナビ調査で、退職後に新たな仕事に就くして妥協できる条件をたずねた問いに対して、正社員では「自宅からの距離」「勤務時間」が可能な要件として当てはまる割合が高く、「年収・給与」「職種・仕事内容」が低くなりました。一方、非正社員は「勤務曜日」が高く、「職種・仕事内容」が低い結果になりました。高齢者雇用はあらゆる業種で今後の課題になりますが、再就職において「職種・仕事内容」が妥協しにくい要素として社員・非社員問わずに考えていますので、職務経歴・経験が生かされる業務を考える必要があります。制度として、働きがいと評価・給与が連動する仕組みが必要ですが、企業・組織での特徴がありミッション・ビジョン・バリューの共有化を進めてからスタートするのが大事ことだと思います。