労働者確保へ向けた動き

 この度、労働政策研究・研修機構から「第4回新型コロナウイルス感染症が企業経営に関する調査」(一次集計)が公表されました。新型コロナの影響は、飲食・宿泊・運輸業等で厳しい状況が続くなど業種間格差が大きくなっています。一方、企業の人出不足感は根強く、経営環境が好転する企業がある中で、3割弱の企業では1年後の労働者の増加を見込んでいます。コロナ禍前の2019年12月と比較した企業の2021年5月の労働者は増加17.9%、減少19.3%となっていますが、1年後の見込みは増加28.0%、減少8.5%と労働者の雇用を考える企業が増えています。

 

 しかし、2021年5月の企業の生産・売上額等をコロナ禍前2年前同月と比較すると、過半数の52.1%の企業がコロナ禍以前の生産・売上等の水準に戻っていません。引き続き厳しい経営環境にある企業が多いことが推測されます。同月の労働者の過不足状況をみると「過剰」「やや過剰」合計18.1%、「不足」「やや不足」の合計32.7%と不足感の方が高くなっています。また、同月の生産・売上等の水準が今後も継続する場合に、現状の雇用を維持できる期間について「半年以内」(18.8%)「1年以内」(31.7%)が雇用を維持できるとしています。一方、「雇用削減の必要はない」(39.6%)、「2年以上雇用削減に予定はない」(24.8%)となっていて雇用維持のスタンスが強まっているように見えます。

 

 

 今年8月の緊急事態宣言前の調査結果ですので、今後の状況の予測はできませんが、リーマンショック並みの悪い景況感といわれる中、当時の労働者過不足状況とは比較にならないほど人手不足を感じているようです。景気後退局面にもかかわらず、人手不足の問題がくすぶり続ける背景には、人口減少、生産年齢人口の縮小という構造的な問題があります。経済活動が全面再開に向かうにつれ、再び企業が人材確保の課題に直面する可能性は高いと思われます。元々、採用力で大企業に後れを取る中小企業は、働きたい・働き続けたいと思える環境づくりに意識的に取り組むことが求められます。

 

 今回の調査で、企業のテレワーク、ペーパーレス化などデジタル化の取り組みの実施率は65.9%に及びます。新型コロナウイルスの感染拡大以降、急速にテレワークが浸透し、場所と時間を一人ひとりの事情に応じ、柔軟に選ぶ働き方が広がってきています。多様な働き方を実現する雇用のあり方、テレワークなど働く環境の整備、意識的なコミュニケーション機会の設定、自律的な成長を促す学習サイクルの定着など労働者の確保・定着に向けた人材確保力の強化の仕組みはすぐにでも必要になります。従来アプローチできていなかった幅広い層を採用対象に組み込み、同時に、既存の従業員がライフステージの変化に直面しても、安心して働ける環境を築くことにつながります。コロナ禍をきっかけに、働き方が大き く変化している今を好機と捉え、就業規則・ 人事制度等の見直しに取り組むことをお勧めします。