
改正労働施策総合推進法が2021年6月1日に施行され、大企業については職場におけるパワーハラスメント防止のための雇用管理上の必要な措置(パワーハラスメント防止措置)が事業主の義務になりました。このパワーハラスメント措置は、来年4月1日から中小企業においても義務化されます。厚労省で実施する令和2年職場のハラスメントに関する報告書によるrと過去3年間でセクハラなどの各ハラスメントを1度以上経験した割合はパワハラが31.4%となりセクハラの10.2%を大きく上回っています。実務でもパワハラの解決に向けての相談が年々増えていますが、被害者・加害者の前提のズレなど、難しい課題になることが多いようです。
パワーハラスメント防止措置は、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「事実関係の迅速かつ適切な対応」「そのほか併せて講ずべき措置」の4点がポイントになります。具体的に何をすればよいのかがイメージできないと言う声も多く聞きます。平成23年度に実施された、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告で提言された「予防・解決に向けた7つの取り組み」があります。パワハラのみならず、セクハラ・マタハラ等にも運用可能なものです参考にされると良いと思います。また、各取組を進めるにあたって厚労省「明るい職場応援団」のサイト上「パワーハラスメント対策導入マニュアル」がお勧めです。

取組においても最も重要なことはハラスメント対策は、全従業員が取り組む会社課題であることを明確にしたトップのメッセージです。特に経営幹部は比較的当事者意識が薄く、加害行為者になりやすい傾向がありますので、経営トップのメッセージが効果的に対策を進めることができます。また、就業規則で罰則の適用条件や処分内容などできる限り具体的に取り決めることで、行為者の抑止力につながりますので、厳格なルールを定めることが大事です。前述の4点のポイントと7つの取り組みの対応を工夫して進めると良い仕組みが出来上がります。
これらに関連して東京労働局は、現時点での取り組み点検できる「自主点検票」を作成し、公開しています。自主点検の結果、取り組みが未了な事項について、事業主が取組やすいように解説書や動画を公開しています。点検表は、義務化される10の措置事項を19に細分化して点検できるようにしていますので、確認するのもよいと思います。相談の実態から考えるのは、ハラスメント防止対策が法律をクリアすることも重要ですが、事案発生時に対応をどうするかのシミュレーション、教育・周知の体制を築くことがより重要だと思います。パワハラ事案の対応は、想像以上にエネルギーを要します。自主点検票はこちらから・・・
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000963104.pdf