
2021年版男女共同参画白書によると新型コロナウイルスの感染拡大で、女性の非正規労働者や母子世帯など弱い立場にある人が影響を受け「男女共同参画の遅れが露呈した」と指摘されています。白書によると、1度目の緊急事態宣言が発令された2020年4月の就業者数は、その前月と比べ男女ともに大幅に減少しましたが、男性が39万人の減少だったのに対し、女性は70万人の減少と、1.8倍近く女性の減少幅が大きかったようです。このコロナ禍で顕在化したさまざまな男女共同参画の課題を解決し、未来を切りひらいていかなければ、ジェンダー・ギャップ指数2021で世界156カ国中120位のわが国はさらに世界に遅れをとってしまう恐れがあります。
総合人事・人材サービス事業を展開する「アデコ」では、日本全国の男女800人を対象に「コロナ禍が、人生観および仕事観にどのような影響を与えているか」をテーマに調査を行い、この度その結果を公表しました。今後の人事・労務の考え方にも影響のあるテーマでしたので、取り上げてみたいと思います。まず、前回の4割がコロナ禍の影響で「今後の生き方について考えが変わった」と回答していますが、女性45.5%に対して同様の回答した男性は34.1%と10ポイント以上の差がありました。年代別では、20代・30代では45.0%がコロナ禍の影響で人生観が変わったと回答しましたが、40代・50代では同じように34.0%にとどまり、こちらも10ポイント以上の差がありました。

仕事観についても、全体では29.3%でしたが、性別では女性、年代別では20代.30代の回答者のほうがコロナ禍の影響をより強く受けていた結果でした。仕事観について具体的にどんなことについて考えが変わったのかを尋ねたところ、働き方(時間・場所)、仕事へのモチベーション、仕事の進め方の3つが50%前後の回答でした。また、今後取り入れたいと思う働き方は、①週休3日、②テレワーク(在宅勤務など)、③副業・兼業、④フレックスタイム制という結果になりました。日本の女性は結婚や出産、子育てといったライフイベントでの役割から解放されずより強くコロナ禍の影響を受けたと推察されます。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対し、「反対」「どちらかといえば反対」と回答する割合は年々年々増加し、男女とも約半数を占めるようになりました。性別役割分業も少しずつ解消し、共働きが主流になりつつありますが、まだまだ仕事と家庭生活の両立ができる多様な働き方への支援が不足していると感じています。誰もが働くことへの尊厳を維持し・差別や排除ない(包摂的社会)とひとり一人が尊重され多様性が受容される(ダイバーシティ)がもたらす持続的な社会の実現に企業が貢献出来たら素晴らしいと改めて感じました。こんな人事・労務の仕組みにしたいと・・ワクワクします。