コロナ禍からの回復に向けて

 新型コロナ感染拡大により1都3県では緊急事態宣言の延長が続いていますが、ビジネスの世界ではコロナ禍後の回復に向けて動き出しています。日本生産性本部では、2021年度にビジネスに影響を及ぼす外的要因や重点的に取り組む経営課題、人的資源管理の課題について日本を含む41か国の経営幹部1,538名に対して行った、表題の意識調査の結果を公表しました。企業ではコントロールできない外的要因について、日本、ドイツのCEO回答は「新型コロナウイルス感染症」「景気後退のリスク」「消費者・顧客の購買行動の変化」が1~3位となっています。アメリカでは、ほかに「ワクチンの供給体制」「規制」「法人税率」が上位にあり、新政権の政策の影響を危惧しているようです。

 

 企業が取り組む経営課題については、各国共通で「デジタルトランスフォーメーションの加速」「イノベーションの促進」と併せて「業務プロセスの効率化」「コスト削減」が重視されており、分子である生産の付加価値と分母の投入リソースを同時に改革することで、傷んだビジネスモデルの回復と成長の両方を追求する意図が読み取れると結論づけています。日本企業の経営課題の特性として、「組織内コミュニケーションの透明性の向上」が他国に比べ高い比率であげられていますが、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換期に加えて、新型コロナウィルス感染症拡大の伴うテレワークの拡大で日本型雇用の弱点が課題となったのでは?と推測されます。これは、大企業・中小企業を問わず日本的課題だと思われます。

 

 

 企業が取り組む人的資源管理の課題では、日米独1~2位共通で、「優秀な人材の採用と維持」「次世代リーダーの育成」となりました。上記に次ぐ項目は、日本「報酬体系の再設計」、アメリカ「コロナ禍以前の出勤体制」、ドイツ「職場に出勤する従業員のエンゲージメント改善」となり、背景には、コロナ禍で急変したテレワーク等の働き方や組織マネジメントの在り方について生産性の観点を含めて、再検証する時期との意識が共通して表れていると推察しています。余談ですが、日本のCEO以外の経営幹部の経営課題を解決する上で障壁になる事項は?との問いに対する選択項目での1位は「変化を嫌う姿勢」でした。現場の苦労が窺えて納得しました。

 

 世界中がコロナ禍からの回復に向けて、さまざまなアクションを起こしだしています。中小企業では、人材の採用と維持と次世代リーダーの育成を通じて、今日に事業(現在の収益を生み出す仕事)と明日の事業(イノベーション)を両立させる仕組みづくり(人事・労務の制度)が急務です。定義するのは簡単ですが、いざ作ろうとすると様々な障壁が表れてはは往くてを阻みますが、もっとも手ごわいのは前述の「変化を嫌う姿勢」です。今夜もある企業の労働環境・人事制度に関する社員説明に伺いますが、どのように変わるのか?どんなメリット・デメリットがあるのか?を丁寧に説明しないで、頭ごなしに押し付けるのは間違いです。最近、「社会的包摂」「多様性」という言葉が好きになりました。