新型コロナ感染拡大の企業・家計の影響

 新型コロナウイルス感染症やその予防措置の影響等を把握するために、労働政策研究・研修機構(JILPT)では、5月、8月のパネル個人調査に続き昨年12月の調査の結果を1月に公表しました。この調査は、昨年8~11月の変化を中心に12月に調査されたものですが、自身の雇用や収入にかかわる「影響があった」との回答は、4月の緊急調査時の35.4%、非常事態宣言下にあった5月調査で42.8%に上昇したものの、8月調査で39.8%の低下し、今回の12月調査では40.4%では40.4%とほぼ横ばいで推移しています。具体的な内容(複数回答)で見ると、「勤務日数や労働時間の減少」が低下する一方、「収入の減少」は引き続き上昇(「5月調査」54.5%→8月調査59.6%→12月調査65.8%)し、新型コロナ感染症に関連した影響の中心が「収入に減少」に大きくシフトしています。

 

 今年1月からの11都道府県に対する非常事態宣言においても推奨される在宅勤務・テレワークに関する調査結果も公表されています。新型コロナ感染症の問題が発生する前の通常月では、73.8%が在宅・テレワークを「行っていない」と回答していたものが、5月第2週(6.2%)と顕著に低下した後、5月最終週(23.7%)にはすでに揺り戻し、11月最終週において「行っている」(55.0%)と7月最終週からほぼ横ばいで推移しています。在宅勤務・テレワークを行える会社・仕事にありながら現在は行っていない理由や日数が減少している理由を尋ねると(複数回答)「緊急事態宣言が解除されたから」「在宅勤務。テレワークでできる仕事が限らるから」等が挙がりました。オフィスのみで働く場合と在宅・テレワークを行うことの変化を尋ねると、「仕事の生産性・効率性」について、「低下する」(66.2%)、「変化なし」(21.1%)、「上昇する」(12.7%)となり、効果的な実施が今後の課題になりそうです。

 

 

 新型コロナウイルス感染症の問題を契機の一つとして、日本的な働き方の見直しが更に進むのではないかとの見方もあります。今回の調査では、民間企業の雇用者を対象に、「A:一つの企業にできるだけ長く勤められる環境を維持すること」「B:労働市場を流動化して転職しやすい環境にすること」とどちらがより望ましいと思うかを尋ねています。「A(どちらというと含む)」(52.1%)、「B(どちらというと含む)」(16.5%)「どちらともいえない」(31.4%)という結果でした。属性別にみても大企業を中心に総じてAが優勢ですが、小規模企業(29人以下:18.0%)になるほどBがやや高まる傾向が読み取れ、若年層(20歳代:21.5%)でもBが高い傾向があります。

 

 コロナウイルス感染症の拡大期にあっては、事業活動の縮小の影響等を避けることはできないと思われます。今回の調査でも8割を超える人が「感染の収束が見えないこと」や「経済情勢の悪化」を不安とする回答を得ています。感染拡大期にあっては、企業活動は段階的に縮小せざるを得ない状況になりますが、感染予防策を講じながら計画休業によるワークシェアリングを行う体制で従業員間の収入差が極端にしない努力も必要です。今回の調査でも昨年9~11月の世帯全体の家計収入を尋ねると「赤字」とした割合が、2019年の世帯収入が「300万未満」で43%、育児や介護、病気などでフルタイム勤務が難しい事情がある場合で44%と4割を超え、新型コロナウイルス感染症の影響が経済的な弱者を直撃している現状が浮き彫りになっています、この感染症の拡大は数年に及ぶとの専門家の意見もあり、それに向けた企業の体制強化に様々な知恵が必要になると実感しています。