コロナ禍の人材ニーズ

 2020年の採用実績は前年に比べ正社員は横ばい、非正規社員は減少、2021年の採用予定数は全雇用形態で増加とする「マイナビ人材ニーズ調査」が発表されました。新型コロナウイルスの影響で依然先行きに不透明感があるものの、来年に向けた採用意欲は正社員・非正社員に関わらず増加傾向にあることがわかりました。正社員で最も募集割合が高かった職種は新卒・中途いずれも「営業」で、非正社員では「事務・データー入力・受付」でした。採用理由をみると「専門能力や技術を持つ人材の獲得」のニーズ高くなっています。

 

 採用・人事施策に関していくつかの例を示して2030年までに重要性の変化について聞いたところ「重要性が高まると思う」の割合が最も高かったのは、「中途採用を中心とした中核人材の確保(主任~マネジャークラスを想定)」で41.1%でした。続いて「新卒採用を中心とした若手人材の確保(第2新卒を含む)」(40.3%)、「ワークライフバランスへの取り組み」(36.9%)、「業績を重視した人事評価」(36.6%)となりました。多様な働き方の拡充や労働力確保のため採用に関して期待する能力は、若手世代では「労働力」「健康・体力」「社内活性化」と続き、40歳~65歳以上の世代のいずれの世代でも「経験値・スキル」が共通して高くなりました。ミドル・シニア世代の転職が増える可能性がありそうです。

 

 いわゆる同一労働同一賃金にかかる法改正ですが、昨年4月の大企業での施行に続き、今春には中小企業でも施行されます。最高裁の判断がなかなか示されず、実務上の対応が難しかったことに加え、新型コロナウイルス感染症への対応という緊急事態の発生により、全体としての対応が遅れている印象があります。中小企業の対応状況として「すでに対応済み」が10.8%と全企業の42.0%と比べても対応の遅れが目立ちます。「対応予定だが、未着手」とする企業が33.2%あり、法施行まで2か月半となっていますが、均衡・均等待遇に関する労使トラブルが増加傾向にありますので、無用なトラブルを避けるためにも早めの検討が必要です。

 

 コロナ禍で来年度以降、企業の採用活動が低迷するのではと危惧していましたが、採用意欲は正社員、非正社員に関わらず増加傾向にあることが分かってほっとしました。大手企業を中心に希望退職者を募るなどの雇用調整も続いており、中途採用などの就活、人材の移動も活発になってくることも予想されます。大企業では能力のある人材はいるがポストがないことが課題となり、中小企業ではポストがあっても担当する社員がいないのが課題になっています。中小企業での中核人材の中途採用は重要な課題で、ワークライフバランスや業績を重視した人事評価制度の構築の必要性は調査からも明らか、何よりも企業としての理念や理想とする将来像を、求職活動を行う人に示していくことが大事と感じています。