コロナ第3波と休業・時短勤務の賃金について

 今年4月に緊急事態宣言が発令され場所や業種によっては、自粛要請や休業要請がなされ未知の領域で多くの企業で戸惑や混乱がありました。休業を要請された企業では「企業の責任に帰する事案」に該当せず、休業手当支払いを要しないという労基法上の一般論を展開しましたが、労働者側の弁護士は休業要請下であっても使用者は休業回避の努力はすべきで休業手当の支払いは生じると反論しました。所管である厚労省も休業回避の努力をすべきとして、個別の事案として判断という曖昧な結論に至っています。最近のコロナ第3波でも、同様の議論が展開はされるとは思いますが、多くの企業ではこれらの課題は労使で解決済みとは思います。

 

 休業や時短勤務に関しての、厚労省Q&Aでは一般論として、事業の休止など余儀なくされ労働者を休業させるときには、労使が話し合って労働者の不利益を回避するための努力が必要です。その上で、休業手当の支払いのついて不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払い義務はないとしています。事業主の責ではない、不可抗力である事態とはどういうことなのでしょうか。一つ目は、その原因が事業の外部から発生したものであること、二つ目が事業主が通常の経営者として最大限の注意・努力を尽くしてもなお避けることができない事案であることなどが要件となります。とはいえ、曖昧な表現でどのような注意、回避の努力が必要なのかは例示されていません。

 

 不可抗力による休業との要件については東日本大震災と同様の解釈がなされ、緊急事態宣言時とは違い、感染防止のため就業を制限する場合、労働者の生活の糧たる給与の支払いは民法の規程によれば全額支払うべきとの主張もあります。具体的に事業主として最大限に努力したといえるかは、自宅勤務(テレワーク)などの方法により労働者に業務をさせることが可能な場合において、検討した事実があるかなどが考えられます。また、現在の就業以外の業務が就かせることがある可能性があれば、その検討がなされたかも使用者の回避努力ともいえるとは思います。それが認められるかは別として、コロナ感染拡大期にあって、労働者の安全衛生の配慮から事業縮小に向けた継続計画を発動し、計画休業や時短を実施していく方策を取られる企業が多いと思います。

 

 緊急事態宣言下においても、外部要因、不可抗力が認められつつも労働者の生活保障は休業手当というよりも、雇用調整助成金や雇用保険失業給付など国の政策に頼ってきました。第3波での再度の緊急事態宣言の発令は考えにくいので、来年2月末までの延長が決まった雇用調整助成金の特例措置により休業者と短時間休業者とを併用しての人材配置計画を立てられてはいかがでしょうか。所定労働時間の決まっていないアルバイトの休業手当の必要性や雇用調整助成金の対象となりますので、パートタイマーの時短要請を含め、勤務シフト等について労使で話し合う必要はあります。いずれにしても、新型コロナの感染拡大が収まりそうもない時期でもあり、就業規則等の見直しを含めは早い時期に賃金に関する取り決めをされたほうが良いのでは思います。