人事評価制度と人材育成

 働き方改革の大きな柱である「同一労働同一賃金」に向けて、ジョブ型等級制度・評価制度・報酬制度の人事制度改定を行う企業が増えています。特に人事評価制度は、従業員の能力や企業貢献度をもとに評価を行い処遇などに反映する制度ですが、うまく活用すれば企業の成長につながるため多くの企業で導入されています。従来、日本企業の特徴である勤続・経験から給与が決まる制度から成果や能力など給与が決まる制度へ代わりつつあり、それに呼応するように評価制度も変わってきています。人事評価制度の目的は、生産性や業績の向上、人事処遇への反映、人材配置の最適化とさまざまですが、従業員の人材育成の側面も重要な目的の一つです。

 

 人事評価制度において評価基準と処遇を明確にすることで、頑張ったことが評価されると認識し、従業員の自発的な成長が期待できます。その反面、従業員個々人の評価で処遇を決定することがチーム全体でサービスの提供を行う企業や工場全体で製品の品質を保つ製造の企業では、ジョブ型の評価そのものが適さないのではないかとの議論もあります。とは言え、そのような業種業態であっても、個々人の勤務評価はすべきであり、企業の特性によりどの様な基準であれば導入できるのかを検討する必要はあると感じています。人事評価制度にもさまざまな手法があり、人の行動特性に着目したコンピテンシー評価や勤務態度や意欲などを複数の人に多面的に評価する360度評価などがあります。また能力・スキルなど客観的に評価できる目標管理の手法もあります。

 

 目標管理(制度)とは、あらかじめ個人の目標を設定してその達成度を評価する手法のことです。個人の能力・スキルなどが客観的に評価できるメリットの他、従業員一人ひとりの目標を経営目標や部門目標と連動させることで業績アップや従業員のモチベーションアップや目標達成のためのスキル向上への効果も期待できます。目標管理制度(MBO)は、数年前に導入したが全く機能していない等、評判の悪い制度として定着しているようですが運用の失敗にすぎません。本来、目標管理は個々人が設定した目標の達成度やプロセスなどを自己評価しながら修正や再計画をして得られた達成結果です。人事評価に「アメとムチ」は、使うべきではないとの意見もありますが、MBOが人材育成が主目的であれば何ら問題がないと思います。

 

 人材評価制度では、業績や目標の達成度やプロセスを評価する「業績評価」、業務を通じて得た能力を評価する「能力評価」、勤務態度や仕事の意欲を評価する「情意評価」3つの軸で構成されます。経営理念、経営目標・経営計画に沿った評価項目の期待する具体的な行動を明らかにします。目標管理に関する項目は「業績評価」で、今年度の個人目標と具体的な行動と目標を設定します。あくまでの個人の目標に沿った施策を明らかにし、設定時の面接において達成に向けた業績評価指標を設定し確認のサインをします。1年間の日程では中間面接が2~3回で進捗と評価、修正を行います。業務プロセスの管理や達成に向けた仮説の立て方を学ぶには、目標管理制度は優れたツールだと思います。あとは運用をしっかり行うことだけです。