テレワークと労務管理・就業規則

 新型コロナ感染拡大期に伴う緊急事態宣言以降、テレワークの実施は拡大前に比べて倍以上に増えました。同時に公私の空間、時間の区切りをつけることの難しさ、働きすぎの予防と労働時間管理のルールを守る課題が見えてきました。働き方改革実行計画(平成29年3月28日)においても、テレワークが長時間労働につながるおそれが指摘されていましたが、新型コロナ禍で現実となりました。テレワークを行う場合においても労働基準関係法令が適用されますが、就業規則の記載事項を含め検討が必要です。

 

 労働者に就労の開始時にテレワークを行わせることとする場合、就業の場所としてテレワークを行う場所を明示しなければなりません。その際、公私の区別が困難など家庭の事情から、始業終業の時刻の変更を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともにその旨を明示しなければなりません。使用者は原則として労働時間を適正に把握する等の労働時間を適切に管理する責務を有していることから、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として労働日ごとの始業・終業の時刻を確認して適正に記録する必要があります。また休憩時間は原則として労働者に一斉に付与することを原則としていますが、テレワークを行う労働者については、労使協定により一斉付与の原則を適用除外をすることも可能です。

 

 テレワークでは、就業時間中に銀行や役所に行く時間、中抜けの時間の要望が多々あります。使用者が業務の指示をしないこととし、労働者が労働から離れ、自由に利用することを保証されているのであれば、終業時刻の繰り下げなどの所定労働時間の変更は可能です。ただし、あらかじめ就業規則に規定しておくことが必要です。テレワークで比較的使い勝手の良い制度は、始業終業の決定を労働者に委ねるフレックスタイム制度です。就業規則に始業終業の時刻をその労働者の決定に委ねることの記載、労使協定において対象労働者の範囲、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間等を定めることで導入できます。

 

 今後、さまざまな形態でのテレワーク導入に企業が増えると思われます。総合人材サービス企業の直近の調査では、フル出勤・フルリモート単独よりもオンライン・オフラインを組み合わせる「ハイブリットワーク」の方が効率性及びコミュニケーション量に対する満足度が高い結果になり、また実施している企業が増えているようです。勤怠管理・業務管理のクラウドツールも多種多様あり、特性も多様性があり選択が難しいところですがどのような働き方を求め、必要とする成果を検討することでテレワークと労務管理の方向性が決まります。自律的社員が多く、コミュニケーション(雑相)が日常的に行われている会社でしたらフル・フレックスがお勧めです。