新型コロナの企業経営の影響と対応策

労働政策研究・研修機構では、この度「新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」結果を公表しました。今年2月から5月の変化を6月に調査したもので、全国3000社を対象とし、1293社の有効回答を分析したものです。雇用状況の変化の指標として、「労働者の増減」について、「ほぼ同じ」とした企業の割合は2月の85.9%から5月66.4%と低下傾向が見られます。労働者形態別では、正社員等では「増加」(5月15.3%)が「減少」(5月14.3%)を僅かに上回っている一方で、パート・派遣等では、5月「減少」が「増加」を大きく上回る傾向が強いようです。特に「派遣労働者」では、減少・増加差が21.5ポイントと厳しい状況のようです。派遣求人が少なくなっているのが予想できます。

 

 雇用調整の実施割合も2月(19.5%)から5月(55.1%)にかけて上昇していますが、解雇、雇い止めの割合はわずかにとどまっているようです。5月時点の雇用調整の方法として「残業の削減」(36.6%)、「所定労働時間の削減」(20.0%)、「一時休業・一時帰休」(18.2%)で高くなっている一方、「解雇」(0.4%)、「雇い止め」(0.4%)は低い水準にとどまっています。しかし、企業経営の影響は大きく、生産・売上等が対前年同月の比較で、「減少」した企業の割合は5月に72.0%、そのうち5割程度以上「減少」した企業の割合は15.9%となっています。

 そのような状況の背景となった要因について、「社会活動の自粛により需要減退の影響」(48.5%)、「緊急事態宣言に自粛要請対象となったため」(28.1%)続いて「外国サプライチェーンの影響により事業活動への支障による」(17.3%)という調査結果がでています。

 

 

 2~5月における企業の人件費総額は「減少」した企業の割合が4月において31.4%と大幅な上昇がみられる一方、19.7%の企業が「増加」したと答えています。人件費は企業の生産・売上等の減少に比べると減少幅が小さく、人件費割合が高まっていることが推測されます。今後の企業業績回復の見通しは、「半年から1年くらいかかる」(26.1%)、「1年から2年くらいかかる」(22.6%)、「分からない」(18.7%)となっています。その他「半年以内に回復」「2年超かかる」の10%未満の意見もありますが、長期にかけての影響は避けられないようです。

 

 企業の今後の人材活用に関する対応予定は、正社員・パートなどの増員予定より、「雇用や人材の育成を重視する」(72.6%)が最も高くなっています。人材マネジメントに関する対応予定は、「業務の効率化を進める(業務削減・標準化、仕事の分担、進め方の見直し等)」(44.1%)、「教育訓練・能力開発を進める」(41.8%)、「省力化投資(機械化、自動化)を進める」(24.4%)と対応の方向性に人手不足を意識していることが伺えると分析しています。

 

 ウイルスとの共存は2~3年の長期に及ぶことが予測され、感染拡大期においては今回のように事業の縮小を余儀なくされることが考えられます。企業収益の影響を最小に抑えるためには、感染の拡大縮小に合わせた事業規模を調整、収束期に通常営業に戻す事業継続計画の作成は必須です。また、テレワークの実施予定がなくてもジョブ型の人事制度への見直しと調査においても示されている人材マネジメントの対応策を並行して行うことで第2波の準備ができるのではないでしょうか。