新しい働き方と人事制度

 働き方改革の進捗とポスト終身雇用時代の到来により、組織の在り方、キャリアの築き方、そして働き方が急速に変わりつつあります。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークなど新たな働き方が急速に広がり、組織、キャリアや評価などの人事の在り方も大きく変わっていくことが予想されます。これまでの日本型人事制度では、画一化された組織の方針と組織の能力が、全社員にも統一して浸透することで、利益を生みだし社員に賃金として還元されてきました。しかし、21世紀に入ってからの社会の変化はめまぐるしく、労働を取り巻く環境も刻一刻変化を続け、会社から降りてくる利益をあてにしてはいけない時代に変わろうとしています。

 

  これからの会社は、社員の成長によって利益を生み出し共に成長する姿に変わっていくことが予想されます。社員は会社から画一的に下りてくる価値観でない新しい価値観を自ら創造して、自分の生み出した価値観を組織に反映させるクリエイティブな思考をもった社員を高く評価する人事制度が必要になってきます。社会はものすごいスピードで変化を続け、消費者の行動も分化・統一感をなくして、個として新たな、多様な価値観を生み出し続けています。企業は、分裂し多様化した価値観についていかなければ対応できない時代にあり、社員の成長によって得られた「知」という価値を組織とすり合わせていくことがシナジーを生み出す原動力になりえます。コロナ禍でその傾向は、ますます加速しています。

 

 

 旧態依然の常識の先にある「労働時間」の捉え方では、なかなか方向性が決まらないと思われますが、テレワークにより「ジョブ型」の働き方に注目が集まっています。働き方改革では、労働時間の短縮が一つのテーマになってますが、労働分配率の改善など一定の効果は期待できますが、新たな価値を創造することと労働時間とはあまり関係がないように思われます。テレワークで課題となった仕事と成果と評価を制度として体系化すること、創造的な成果は、氷山モデルのような膨大な量の知識と経験から水面に顔を出すごく小さな部分です。企業は価値創造の可能性を理解し、見えない価値を生み出す環境を提供しなければなりません。

 

 狭義の人事制度は、「等級制度」「賃金制度」「人事評価制度」の3つをいいます。「ジョブ型」の人事制度といっても、まだまだ社会に浸透していない考え方なので「等級制度」を作る際、「職務」「職能」の2方向から自分の会社にあった制度構築が大事だと思います。価値創造の思考変容を期待するのであれば、「人事評価制度」と「目標管理」を一体として「1年をかけて挑戦したい職務」とか目標達成までのプロセスを労使で共有する仕組みなどの工夫が必要になると思います。「賃金制度」は、自己の成長や価値創造の成果が等級制度と連動して、わかりやすい仕組みが良いです。報酬だけではなく自己成長に喜びを感じる人事制度が、将来この国の主流になっていくと思われます。