「学習する組織」から学ぶコロナ禍後の企業

 独立行政法人 中小企業基盤整備機構では、「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」をWebアンケート形式で約2000社に実施した結果を公開しました。(2020.4.27~4/30実施)前年同月比(4月)の業績比較では、「大幅なマイナス影響が発生している(41.1%)」が最も多くなりました。また将来も含めマイナス業績が発生するとした割合の合計は79.2%にも上り、一方で「プラス影響が発生・発生見込み」とした企業は僅か5.4%に留まりました。今後の事業活動・労務管理上の対策については「対策自体が分からない」とする中小企業が増えつつあるようです。その一方、コミュニケーションのオンライン化を完了させ、今後は新商品・サービスの開発を進めようとする力強い中小企業の存在も見えるようです。

 

 コロナ禍の第1波は収束の方向にあるようですが、第2波、第3波とまだまだコロナウイルスとの共存は続くようです。1970年にピーター・センゲが提唱した「学習する組織」という理論がありますが、文中の挿話であるロッククライムの話が印象的で困難な問題にぶつかると何かと思いだします。その話はこんな内容だったと思います。学習の原動力はチャレンジであり自分の能力を高めるには今できること(足元で体を支え)、やりたいこと(崖に指をかけ引き上げる)を目指して一歩一歩進んでいく姿のイメージです。目指す方向(ビジョン)が決まれば、行動することで、すぐには到達しないかもしれませんがいつかは現実のものとなるはずと考えます。多くの事業で3つの密を避け、一定の距離を保ちながらの収益確保が現在の課題としても、いつかは対策がみつかると思います。

 

 

 「学習する組織」の骨幹「システム思考」は、氷山モデルで説明されます。海上に表出した部分は、氷山のごく一部で大部分は海中の見えないところにあります。コロナ禍での現実の課題は表出する「できごと」、見えていない部分に「できごと」を生み出す一定の判断などのパターンがあり、そのパターンは組織の構造や環境から生み出されます。さらにその構造や環境を生み出しているのが人のメンタルモデル(価値観)なので、全体的なシステムに対する信念や価値観のメンタルモデルを変えることが重要になってきます。

 

 コロナ禍またはその後の企業のあり方を考えるとき、今までの考え方では通用しない価値観(パラダイムシフト)であることを認識することが、前提になるのではないでしょうか。大げさになりますが、「できごと」を可視化し、企業の存在価値から再定義する覚悟で、関係者一同で真剣勝負の対話を通じて、これからの事業活動・労務管理を決めていけば良いと思います。システム思考とは、部分から全体へ視座を上げ、どういう施策が全体的に効果的な改善ポイントとなるのかを探る考え方です。複雑な環境に柔軟に対応し、変化に対しての適応して成長する「学習する組織」は、これからの企業に求められるシステムです。