新型コロナウイルスと社内感染予防

 新型コロナウイルスの国内の感染拡大が確定的なものになりつつありますが、企業はどのレベルで事業を継続するかを決定する時期にきているようです。同時に従業員と顧客を安全と健康を守る責任、サプライチェーンの確保とステークホルダーとの関係性と情報の共有化も制度構築・対策などが検討すべき事項となります。事業継続に関しては、感染拡大防止の観点から不特定多数の者が集まる場や機会を提供している事業者に対しては国や地方自治体などが事業活動の自粛を要請することになります。仮にそれら事業者が自主的な判断により事業活動を継続しようとする場合、厳格な感染防止対策を講じる必要があります。

 

 従業員や訪問者、利用客等が常に2メートル以上の距離があり、互いの接触・接近が防止できるような対策を講じられることが必要です。2メートルの空間・距離がとれない場合、人の動き・動線など考慮して一方通行にして接触・接近を避けるなどの工夫も必要です。入り口で発熱などの症状のある人の入場を防ぐために、体温計・消毒液など準備することや、入り口に手洗いなどの場所を設置して、入場者全員がそれらの対策を確実に実行する仕組み作りも必要になります。万が一、感染が疑われる訪問者・利用者等が来場した場合にも、十分な感染防止策を講じることができる体制を構築し、従業員間の訓練も行う必要があります。

 

 

 配送業者・取引業者等ステークホルダーには、事前に自社の事業継続の体制について説明しておく必要があります。訪問者には、事業所の入り口付近に、訪問スペースを確保して、予約制として氏名・住所・企業名を記録し、後の感染者の追跡調査や感染防止策を講じる重要な情報となります。宅配事業者には事前に体温情報を伝えていただくとともに、社内に立ち入らず荷物の受け渡しができるように通用入口等の外に簡易テントを張るなどの対策が必要です。また、社内会議は、人が集まらなくて済むクラウド空間上で行うなど、社内での従業員同士の接触・接近を避ける工夫も必要です。中核業務を継続するためのマルチタスク化、スプリットチーム制の検討も早急に必要です。

 

 新型コロナウイルスに関して給与の対応についての質問が多いので、触れておきたいと思います。職場内での感染防止対策として、従業員の発熱または家族(濃厚接触者)に発熱が確認された従業員に対して出勤停止とすることになります。この場合、労基法26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、平均賃金60%以上の休業手当を支払わなければならない」とされ、出勤停止命令は使用者の責任においてなされるもので「休業手当」の支払いは必要です。

 

 病気休養として年次有給休暇の取得を希望した場合、病気療養であっても付与しなければならなとする行政通達があります。従業員の自主的判断により医師の指示により労務不能とされた場合、健康保険の傷病手当金または労災保険の休業補償給付・休業特別支給金が受給できることもあります。新型コロナウイルスが原因とする休業に関しては、事前に労使の納得のいく話し合いにより、事業継続計画の実効性をより確実なものとすることができると思われます。