人口減少社会における企業の取り組みについて

 少子高齢化により社会保障財源の確保のためには、高齢者を含めて国民全体が広く負担する消費税が、現役世代に負担が集中することない社会保障の財源にふさわしいとされ、10月から税率10%に引き上げられました。政府は消費税の引き上げの影響を軽減する対策として飲食料品の軽減税率やポイント還元などの実施を行いました。帝国データーバンクでは「2019年10月景気動向調査(全国)」を実施し、10月は台風により国内景気が幅広い業界にマイナスの影響を与えつつ、かつ消費税の引き上げで、小売業が大幅悪化したことを発表しました。国内景気は、低調な設備投資や消費税の引き上げにより後退局面入りの可能性が続く中、さらに台風による被害が悪影響を及ぼしたと見ています。

 

 今後の見通しについては、消費税引き上げに伴う消費の落ち込みの程度と、その影響の動向が重要になってくるようです。また人件費や輸送費が引き続き企業経営のマイナス要因となるうえ、製造業を中心に世界経済の減速がマイナスに働くであろうと調査報告書は分析しています。前年同期における業界別の景気DIでは10業界中9業界が悪化、特に製造業(ー9.2P)、卸売業(ー5.5P)、小売業(ー3.9P)が大きく悪化しています。今後、東京五輪のがプラス要因と働く期待も多いようですが、人手不足や厚生年金保険の適用拡大による企業コストの増加を見据えた企業経営の在り方を再検討する必要がありそうです。東京を中心とした都市部の大規模開発の企業期待は大きいものの、地域別では東北における景気DIは全国平均を大きく下回っており、業務効率化に向けた企業努力は必要と考えます。

 

 

 少子高齢・人口減少社会には、経済成長と労働市場の問題(労働力人口の減少、貯蓄率低下、技術進歩鈍化)、社会保障制度の問題(社会保障費の増大、財源の確保、世代間公平性)、社会的多様性(コミュニティーの維持、社会活力、高齢者向けインフラ)、地域・都市構造(地方の高齢化、限界集落、コンパクトシティ)、家族のありよう(単身化、家族規範の変化)などたくさんの課題があります。これらの課題を対応するためには企業の変化が求められ、働き方改革の推進こそが今後の企業のありかたを左右するといっても過言ではありません。特に企業の業務効率化と人材の育成は急務です。

 

 業務効率がなかなか進まない話をよく聞きますが、まず確認してほしいのが勤務時間中に潜む無駄な時間の洗い出しです。特に会議については,

多くの人の時間を使い、決定事項の通達や資料の読み合わせ程度であれば無駄な時間です。何かを生み出す会議を意識すべきです。日報などの記載を通常業務としているのであれば無駄な業務の可能性が高く、通常報告は何かあったときだけにして週報など集約した報告にするなど工夫が必要です。報告などの後始末の時間は徹底的に効率化を図り、今の会社利益を生み出す時間、将来の利益創出の時間など売り上げに直結する時間の使い方が徹底できれば人口減少社会にも対応できる企業となります。