キャリア開発の研修などについて

 変化のスピードが激しく将来予想の難しい経営環境にあって、継続的に高い成果を生み出すためには従業員の適材適所を行い、能力・スキルを向上させる必要性から、近年、キャリア開発に関する取り組みが活発になっています。そんな中、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所は、この度「2019年度(第43回)教育研修費用の実態調査」を実施・実施、発表しましたので合わせて紹介したいと思います。それによりますと教育研修費総額、従業員1人当たりの総額ともに前年度予算額から減少しました。今回の初調査のキャリア開発研修の実施状況では、実施企業43.5%、年齢が若い層ほど研修の実施率が高い傾向にあり、実施内容は、若手~中堅層では「自己理解・自己分析」、ミドル・シニア層では「キャリアの棚卸」が最も多かったようです。

 

 各種教育研修の実施状況においては、階層別教育が一般的ですが「キャリア開発研修」においても同様の傾向がみられ、実施率では「若手~中堅層(20歳代~34歳)」86.8%、「ミドル層(35歳~50歳代前半)66.2%、「シニア層(50歳代後半以降)」43.2%の結果でした。若手社員は近年、早期退職が問題になっており、若いうちにいかにしてライフキャリアや職業キャリアを考えさせられるかがキャリア開発上、大きなテーマとなっているため「キャリア開発プランの作成」も高い実施傾向にあるようです。また、企業にとって最もキャリア開発の支援が必要とされるミドル層においては、将来的に管理職にするのか専門職とするのかを見極めるステージにあるために、「自己理解・自己分析」「キャリアの棚卸」ともに実施率が75%前後の高い結果となったと思われます。

 

 

 近年、日本ではひとり一人の自律的なキャリア開発に注目が集まっていますが、かつて日本企業の多くは、高度成長期に根付いた終身雇用・年功序列を前提として人事異動によりさまざまな仕事・職場を経験させることで意識してキャリア開発をしていく必要がありませんでした。バブル経済崩壊後の経営環境・雇用関係の大きな変化により、従業員、ひとり一人の高い専門性とアウトプットが求められるようになり、キャリア開発の在りかたも、多様な能力・スキル・経験を持つ人材の育成の必要性へと変化していきました。

 

 パラダイムシフトといわれるバブル経済崩壊後の変化、そして又「働き方改革」における就業環境の変化、AIの発達が目覚ましくなる将来、今まで培ってきたキャリアを失いかねない危機またはそのような状況に直面する(キャリアクライシス)機会が増えてくると予測されます。今後、企業としてできうるキャリア開発の研修や異動・配置制度(社内公募・自己申告・ジョブローテーション)などの実施、キャリアパスなどの能力開発制度を通じて、企業の成長のみならず、従業員自らの価値観やエンプロイアビリティーを高めようとする強い意志をもって新たなキャリアを描くこととなります。時代の大きな転換期でも、新たなキャリア形成が描くことができるステージを準備すること・・これからの企業の役割と考えています。