多様化する勤務形態と人事

 昨年、発表されたパーソナル総合研究所と中央大学の人手不足問題に関する研究結果によると、2017年度の人手不足数121万人から、来年度2020年には384万人と3倍に拡大されることが予想されています。効果的な対策を講じなければマクロ的には日本経済の成長阻害、ミクロでは企業の人手不足倒産の大きな要因になりかねないといいます。日本の人口減少、働き手不足に対応するため打ち出された「働き方改革実行計画」では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として「テレワーク」「兼業・副業」の普及など勤務体系の多様化を促しています。

 

 このたび、マンパワーグループでは、多様化の実態を探るため企業の人事担当者に向け、現時点での勤務形態や制度についての調査を行いました。それによりますと、日本の働き方のスタンダートといえる「フルタイム勤務制度」は、約9割(87.0%)を占めています。また、産育休などからの復帰を支援する「短時間勤務制度」は、60.0%の企業で導入され、「シフト制度」(36.5%)、「フレックス制度」(27.3%)となっています。また、必ずしもフレックス勤務である必要がないとして生まれた「短時間正社員制度」(25.0%)、「在宅勤務制度」(14.3%)、「副業」(7.3%)と多様な働き方を推奨する制度を導入する企業はまだまだ少ないようです。

 多様な働き方制度を導入している企業の人事担当者によると、ライフステージや個々の環境に合わせた働き方を実現することで、人材の流出を防ぎ、採用にも役立てるという理由が多いようです。

 

 「短時間勤務制度」の導入理由として、育児・介護などフルタイムで働くことが難しい社員が増えた、または弾力的な勤務時間制によりワークライフバランス環境の整備をあげています。申請条件として、1週間前までの上司への申請等、業務内容との調整等が要件となっているようです。

 「在宅勤務制度」では、人材の流出を抑えるため、育児や介護などで勤務地への通勤が困難な場合でも、デスクワークで働くことを可能とするためなどが導入の理由のようです。要件として、週3回の出社や毎日の作業前後の電話連絡、あるいはオンライン上の勤怠管理など企業との指揮命令下であるという労働者の意識の要件、勤務時間管理の企業責任をクリアする体制整備が重要なようです。

 

 正社員に関しては、柔軟な働き方がしやすい環境整備の普及、多様化が今後、必要になると思われます。将来に向け正社員のみならずパート、アルバイト労働者を含め、来年度384万人、2030年時点での644万人の人手不足問題を解消するためには、女性、高齢者、外国人の雇用増加に加え、AIなどの活用により生産性を向上することも求められています。(前提条件) 雇用を増やすためには、企業で求められるスキルの教育支援や女性、高齢者、離職者のリカレント教育(社会人の学び直し)が重要だとされています。しかし、職業教育に関しては、1日4時間以上の勤務体系でなければ能力向上が望めないとする研究結果もありますので、パートタイム労働者の人材ポートフォリオの構築が必要です

人事制度、全般についての再構築が必要となりますが、やれることは何でもやるという気概がないとこの難局は乗り越えられないかもしれません。