パワハラ対策の義務化について

 職場のハラスメント対策の強化を柱とした女性活躍・ハラスメント規制法が5月29日参議院本会議で可決、成立しました。パワハラは厚生労働省の各都道府県労働局への相談件数が増加し、また被害も深刻化していることから法規制に踏み切りました。今後、労働施策総合推進法、男女雇用均等法、育児・介護休業法など5本の法律を一括改正する内容となっています。既に先行しているセクハラ、妊娠出産を巡るマタハラ、今回のパワハラの関して「行ってはならない」ことを明記、加えて事業主に相談体制の整備や防止対策を義務付けることになります。

 

 パワハラは、①優越的な関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③職場環境を害する行為を要件として定義づけられる行為です。業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲を行われている場合には、パワーハラスメントに当たらないとされていますが、今回の法律では「適正な指導との境界が曖昧だ」とする企業側の主張にそって、罰則を伴う行為自体の禁止規定は見送られました。とはいえ、社会問題となっているパワハラ防止の法制化によって、企業の自主的な対応に委ねられてきた事実からは大きな前進といえます。

 

 そんな中、連合は「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」(5/8~5/9,

20~59歳、インターネットリサーチ)を実施し、1,000名の有効サンプルを集計、公表しました。「職場でハラスメント(3類型)を受けたことがある」と回答したのが全体の38%でした。その内、上司などから受けたはハラスメントの行為類型「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が最多の41%、同僚からのハラスメントで多いのが「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」の21.3%とパワハラ被害としては決して少ない数字ではありません。また、女性が職場で受けたハラスメントでは、38%がセクハラの被害者という悲しい結果になっています。

 

 職場でのパワーハラスメントの問題点は、職場の雰囲気が悪くなり、当事者の心の健康を害して休職に至る不幸な結果になります。また、企業は訴訟による賠償請求などの大きな経営リスクにつながります。パワハラによる職場内のモラールの低下は、生産性の低下、業績の悪化、人材の流失など経営に及ぼす影響は図り知れません。業務上必要な指示や注意・指導が適正な範囲内で行われているかなど勉強会を通じて学習、周知、従業員全員が互いに尊重し合い、パワハラを起こさせないよりよい、働きやすい職場をつくることが大事です。パワハラ対策の義務化は、大企業は来年4月にも開始され、中小企業は同時期に努力義務からスタートして、その後2年以内に義務化される見通しです。企業はハラスメント根絶に向けた責務を果たしつつ、従業員に対して決して許されない行為と自覚、行動することを求めてほしいと思います。