人手不足に対する企業の動向について

 今年4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働の是正、年次有給休暇の取得義務化の取り組みに加えて、生産性の向上という、一見相反する事柄に見える取り組みへの機運が高まっています。しかし深刻な人手不足の現状は、有効求人倍率の上昇など売り込み側の求職者にとっては好材料ですが、企業においては売り手市場を要因とする人件費の上昇などのコスト負担の増加など企業活動に悪影響を及ぼしかねない可能性があります。

 

 そんな中、帝国データーバンクでは人手不足に対する企業の見解についての調査を、定期的に実施される景気動向調査とともに行っていますので、結果についてご紹介します。それによりますと正社員が不足している企業は50.3%で、昨年より1.1ポイント増加し、新入社員の入社時期と重なる4月としては過去最高を更新しました。また、非正社員ではすべての規模別企業の31.8%、大企業では36.5%と過去最高を更新しています。業種別では「飲食店」の約8割、「飲食料小売り」「人材派遣」「旅館・ホテル」などが上位に挙がっています。正社員の不足についての5年前比較では、小規模企業で10.6P、中小企業で15.9P、大企業では21.9pの各々の上昇と規模の大きい企業ほど人手不足感が強い傾向がみられます。

 

 

 非正社員を不足とする業種は、「飲食店」78.6%をトップに、「人材派遣・紹介」の8業種が5割を超え、そのうち5業種が小売りやサービスにおける接客関連業種となりました。労働集約型の仕事の進め方の限界が見えてきていますので、従業員に多くのことを期待せずに機械化の検討も必要なようです。また、従業員数が多い企業ほど人手不足を感じている傾向が強いので、中小・小規模企業の従業員に向けた中途採用も積極的に進める可能性が強いようです。

 

 人手不足による人件費の高騰による企業収益の影響が懸念されるなかで、2019年の業績見通しの下振れ材料として「人手不足の深刻化」をあげた企業は39.0%にのぼり、「中国経済の悪化」「消費税引き上げによる消費低迷」を上回ってトップとなっています。(帝国データーバンク「2019年度の業績見通しに対する企業の意識調査」)人口減少が加速する国内状況において、労働力の確保や維持に苦戦を強いられることが予想され、今後、人手不足解消は特に中小・小規模企業にとって喫緊の課題となりそうです。