企業のおける高齢者の活躍推進

 令和の新しい時代を迎えましたが、日本商工会議所が昨春に実施した人手不足等に関する調査では、人手不足と回答した企業の割合が4年連続で上昇し65%に達し、令和の時代にさらに深刻さが増していくと思われます。そうした中、女性、外国人材、高齢者など多様な人材の活躍推進が期待され、労働力調査によれば高齢者の就業者数は2008年からの10年間で309万人増加して、就業率も19.7%から24.3%へ上昇しています。65才以上の非労働力人口のうち就業希望者は48万人と働き手の不足する日本において、更なる労働参画が期待されています。

 

 他方では、現行の60才定年制を維持する方針をとる企業が大勢を示し、法律で義務付けられた65才までの雇用の保証をしながら、定年前と異なる働き方(短時間勤務)を取り、役割や成果に対する期待を薄くなり定年時の賃金より一定の低い水準とる企業が大手を中心に多いようです。

 60才以前と変わらない仕事の処遇で再雇用の延長をすると、新しい人材が採用できない、また人件費負担が増え、そのことが若年者世代の労働意欲を低下させ人的資源の維持・向上を阻害する問題ともなりえます。相矛盾する企業と高齢者、それに続く世代との異なる人的資源管理をどうように調整していくのが、企業の課題となりそうです。

 

 

 元気で意欲ある高齢者の就業を一層促進し、これまで培った知恵や経験を社会で十分に発揮して生涯現役社会の実現に官民挙げて取り組んでいくことは、我が国の人手不足を克服する重要課題であることは間違いありません。他方、企業にとっての高齢者雇用は、体力や意欲面での個人差が大きいことや、定年退職者の再雇用と同様に若年層の採用阻害になるなど組織の若返りの面での課題も指摘されるところです。中小企業においては、大企業に比べて高齢者雇用に総じて前向きな面がありますので、高齢者が活躍できる職場環境の整備などの取り組みを尚一層後押しすることが有効です。

 

 政府では65才以上への継続雇用年齢の70才までの引き上げ、地方自治体を中心とした就労促進の取り組み、キャリア形成支援など環境整備に令和時代にも引き続き取り組んでいくようです。企業としての高齢者の活躍推進にどう取り組んでいくのかは、今後の経営課題になっていくと思われます。大企業等での経験を通じて身に着けた知識・経験・ノウハウを退職後もそれを生かしたいという意欲を持つ高齢者は多いですが、中小企業においてそのマンパワーとマッチングする仕事として、生かすことができないというのも現実です。相互の様々な雇用契約に関する前提をクローズアップさせずに、企業理念・ビジョンにおいての相互理解から当面の活躍の場をみつけ、順次その場を広げていったほうが良い結果になるようです。経営者は、自らの夢を語らないと伝わらないことが多いようですよ。