
30本以上の法改正から成り立つ働き方関連法が今月から一部施行が始まりました。労働法関連の改正の大枠は、「労働時間関連の法改正」と「同一労働同一賃金」(大企業2020年、中小企業2021年施行)に関するものです。特に今年4月からの重要な法改正は、有給休暇5日を取得させる義務と労働時間の適正な把握義務、客観的に把握する義務です。中小企業は労働時間の上限規制が来年の施行となっていますが、今から準備を始めないと間に合わないということもあり得ます。
働き方改革の本質は、戦後の昭和型の働き方である「男は仕事」「女は家庭」という男性中心の長時間労働、職種無限定の転勤・配置換えなど古い労働慣習の脱却を目指しています。「24時間戦えますか?」といった栄養ドリンクのCMに代表される長時間労働が容認されてきた時代から、労働力人口が確実に減り続ける時代は、同質的な働き方から働く人一人ひとりの「働くことの価値観」や育児、介護などの「制約」の実情に合わせ各人の戦力を最大化するための多様なマネジメントが必要になります。そのための労働法史上はじめての労働時間の上限規制の導入であり、残業容認から労働者の健康へ大きく舵を切りました。

年次有給休暇5日取得義務化について、今年に入り多くの企業で取り組み方が話し合われてきたようですが、人手不足の事業所では今だに結論がでていない所も多いようです。長時間労働の是正についても、単に「残業禁止」を命ずるだけではなく、無駄な仕事や会議を減らし、人員の配置や業務の分担、仕事のやり方の見直しが必要となる経営判断として全社的かつ継続的に取り組む必要があります。
残業が減ること・・・イコール収入が減ることに、仕事のモチベーションが下がるなどデメリットが生じることがあります。賞与に見直しなど残業に支払っていた賃金が還元できるような仕組みも必要になります。自分の仕事の効率化などに手一杯となって、若手社員の育成ができなかったり、他の人にしわ寄せがいったりするのでは意味がありません。労働時間の削減は、今まで通りの働き方では実現できないような法改正ですが、生産性向上のために必要なことは何かを全社的に考える良い機会になります。