賃金制度研修・受講しました。

 昨年6月のハマキョウレックスの最高裁判決から日本郵政の東京地裁まで、手当格差に対する違法判決が相次いでいます。「同一労働同一賃金」を巡る判決を受け、賃金制度再構築の影響についての動向を知りたくて、研修を受講してきました。

12月に同一労働同一賃金ガイドラインが施行されましたが、そもそも中小企業の多くが、正社員は職務遂行の能力をパートタイム等は時給の世間相場としていますのでガイドラインが使えません。それを踏まえて、相違の具体的理由を合理的なものにしなければなりません。制度を変えなければほぼ不可能な話ではないかと思います。

 

 相違の具体的理由を「仕事基準」によらずに、職務内容や職務内容・配置の変更範囲をガイドラインに無理に合わせて、違う仕事としても人手不足から業務自体に不都合が生じます。厚労省が推奨する「職務分析」による均等・均衡待遇を目指し、勤続や年齢に連動する手当、賞与の見直し、将来的には退職金も視野にいれて制度を設計する必要があります。人事制度では、賃金や人事考課などの諸制度、運用に関する規程・様式などはハード部分で、これだけでは事業収益を向上させるようには動きません。従業員のやる気や仕事に対する誇り、仲間意識など企業風土というべきソフトとの両輪でうまく回りだします。それから欧米の「仕事基準」は、そのままでは日本の企業にはなじむとは思っていません。工夫が必要です。

 

 

 「人基準」から「仕事基準」での賃金制度が求められていますが、職務記述のみで仕事を決定すると、自分の仕事だけやれば良いなど硬直的になりすぎます。日本企業の特徴である仕事の柔軟的な取組と従業員間の連携は必要なので、仕事の分業化などの仲間を意識した組織開発の取り組みが必要です。賃金制度は現行の賃金をベースに組み替えますので簡単に思う方もいますが、人事制度を動かすエンジンである経営理念や社会的使命など経営戦略に沿った、将来的に働く人が納得する制度としないと破綻します。どこまで考えれば良いのかが解らずに、多くの社会保険労務士が苦手意識を持つのがこのような理由からです。

 

 今回の研修では、戦後日本の賃金制度の大改革である「同一労働同一賃金」に向けた制度設計に労働関係法令の専門家である社会保険労務士がかかわる意義を再認識しました。首都圏では若年労働者の年金不安から退職金制度の要望が高いことを知りました。地方の企業でも、優秀な労働者を雇い入れたいと思えば、退職金制度が必要になる時代のようです。制度設計や組織開発には、今まで以上に企業との関係を大事にして、企業収益が向上するコンサルティングを行う覚悟を持ちました。研修を受講してよかったです。