建設キャリアアップシステムとこれからについて・・

 今年4月から「建設キャリアアップシステム」の本運用が始まります。建設キャリアアップシステムは、不足する建設技能者を業界全体で一人ひとりの「技能」や「経験」をしっかりと「認め」「育てる」仕組みとして建設業界と国土交通省の官民一体として取り組んでいる制度です。建設技能者は異なる事業者の様々な現場で経験を積んでいくため、一人ひとりの技能者の能力が統一的に評価される業界横断的な仕組みが存在せず、スキルアップが処遇の向上につながっていかない構造的な問題がありました。こうした現状を変革するため、一人ひとりの技能者の経験と技能に関する情報を業界横断的に蓄積し、適切な評価と処遇の改善、技能の研鑽につなげていく基本的なインフラとして整備する必要がありました。

 

 建設キャリアアップシステムでは、技能者一人ひとりの情報を登録し、本人確認されたIDが付与されたICカードが交付されます。ICカードが本人を証明する機能を担い、現場のカードリーダーを通すことで、どのような現場でどのような経験を蓄積したかの情報が、日々の就労実績として電子的に記録・蓄積されることになります。同時に、どのような資格を取得し、あるいは講習を受けたかといった技能、研鑽の記録も合わせて蓄積されます。蓄積された情報を元に、それぞれの技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善に結びついていくこと、さらには優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工力が客観的に示せるシステムとなることを目指しています。

 

 

 事業者によっては制度に対して否定的な意見もありますが、複数の現場における技能者の就業状況等を日単位で確認できるようになり、現場管理の効率化につながることが期待されています。自社に所属する技能者の技能経歴を顧客等にPRできるほか、優れた技能者を雇用する事業者の評価が進み、選定に活かされていくことが期待されます。しかし、技能者の情報が知られることで、雇用の流動化が加速され、自社の優秀な技能者が他社に引き抜かれるリスクもあります。

 

 そのようなリスクを避けるためにも、自社の技能者の評価が適切に行われ、賃金や人事処遇にどのようには生かされるのかが見える賃金制度を構築する必要があります。私の経験からすると、建設キャリアアップシステムの方向性と企業の理念や経営計画から導きだされる制度構築は比較的に楽だと思います。業界全体の止められない流れに企業の人材ポートフォリオを乗せる、技能者にとっても良い賃金制度・人事評価制度となるようです。現在、依頼によりキャリアアップシステムの企業登録、技能者の代行登録の準備をしていますが、複雑なうえに添付資料の多さに戸惑っています。従業員説明会の準備もあり、システム登録の簡素化・・・何とかなりませんかね。。