介護事業の人材不足と外国人雇用

 介護保険事業がスタートした2000年度には、介護が必要な高齢者は約218万人でしたが、2016年度は約622万人に増え、2025年まで増え続けることが予測されています。同様に介護職員数も16年間で183万人と3.3倍に増えましたが、ピークである2025年度には245万人の介護職員が必要とされています。しかし、介護事業の有効求人倍率は、2018年8月データですが、約4倍と全産業の1.5倍を大きく上回り、業界の低賃金の慢性化などの労働環境の悪さから離職などの例が目立ち、その後も人材不足改善の兆しが見えない状況です。

 

 昨年12月に改正入管法に基づく外国人受け入れ拡大の新制度について、基本方針などを閣議決定し公表しました。従来、日本の「人づくり」の国際貢献として「技能実習制度」を採用していましたが、今回の改正での「特定技能1、2」は日本での就労を目的とした資格で技能実習とは大きく異なります。介護事業における外国人材の活用は、2008年に始まった経済連携協定(EPA)による受け入れがあります。これまでインドネシア・フィリピン・ベトナムなどから累計約4300人がこの仕組みで入国していますが、最終的に介護福祉士の資格取得者は700人あまりで多くの方が帰国する結果となりました。

 

 

 2016年改正入管法により2017年から、介護分野における外国人技能実習制度が始まり、介護技能入実習生を受け入れていますが、2018年10月末時点で約250人にすぎません。特定技能の創設から5年間に受け入れる外国人労働者のうち45%が「技能実習」からの移行者と試算されています。特定技能1号で介護の仕事を3年以上続け、更に介護福祉士の資格を取得した場合、既存の在留資格を介護技能として働き続けられることを検討しているようです。

 

 多くの疑問点を有する特定技能2号の外国人労働者は、制度開始後数年間は受け入れない方針とされていますので、この資格での外国人の受け入れは当面なさそうです。アジアを含む先進各国による介護人材獲得に向けた争奪戦が始まっています。魅力のある職場や生活環境を用意できなければ日本を選んでもらえない懸念も強まっています。介護事業では、数年前からキャリアパスの取り組みを始めていますが、現実的に職務分担をすすめ、現場の負担軽減のための介護ロボットの導入やICT,AIによる作業の効率化、簡素化の推進など日本人スタッフの業務軽減をすすめることが優先だと思います。外国人雇用には時間が必要なようです。