戦略としての勤務間インターバル

 働き方改革関連法の成立の伴い、労働者がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択す社会を実現するために、長時間労働の是正など労働基準法等の改正が行われます。時間外労働の上限規制の強化と併せ、努力義務ですが勤務間インターバル制度の普及促進も課題として挙げ、来年4月から施行されます。勤務間インターバル制度とは、「終業から次の始業までの休憩時間を確保する」仕組みを言います。例えば、仕事が深夜まで及んだ場合、次の日の始業時刻をずらして、睡眠時間を含め、まとまった休息時間を確保することが目的です。

 

 働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くという考え方そのものに手をつけていく改革と定義するように、来年度から「今までの常識が通用しない」時代になりそうです。「同一労働同一賃金」を基盤とする賃金制度の変革は、戦後日本の「人基準」から、欧米型の「仕事基準」に転換を図る必要がありますが、労働時間の考え方も今までとは違う取り組みが必要になります。ヨーロッパでは、EU労働時間指令など労働者の健康のため、特にフランスの労働時間は厳しい上限規制があります。勤務間インターバルが11時間、勤務間休憩1時間を含めて、1日の労働時間上限が12時間、週48時間を上限とする労働時間が義務となっています。ヨーロッパの労働時間の管理は、労働者の健康の確保を目的とあいています。

 

 

 同じような「仕事基準」の賃金制度を持つアメリカでの労働時間の考え方は、ヨーロッパとは違います。「市場経済」を重視し、労使間で合意された労働契約を根拠として、割増賃金を払うことで、所定労働時間からの時間延長を可能としています。最も割増賃金の率は50%と日本の段階的な割増率とは違い、あまり長時間の時間外労働をさせると企業に不利となる率としているようです。韓国でも同様で50%となっています。日本の労働時間に関する立ち位置は、労基法32条で「1日8時間、週40時間」の上限規制を定めながら、労基法36条で「時間外・休日労働」を認める欧米折衷の立場をとっていました。

 

 働き方改革では、従来の労基法36条の「特別条項による上限なき時間外労働」を見直し、「労働者の健康の確保」に労働法関連法令の軸足を変えてきたようです。事業者の労働時間把握の義務、年次有給休暇の5日取得義務、正規・非正規の待遇差の是正など、フルタイム・パートタイムに関わらない人事・労務の管理体制が必要になります。これからのトレンドは、ヨーロッパ型の労働時間の考えかたになってきます。勤務間インターバル導入につては、来年度も継続するであろう「時間外労働等改善助成金」の対象になっていますので、ほかの人事制度と取り組みと合わせて人材確保の企業戦略として取り組まれたらいかがしょうか?企業の将来が人材確保と組織開発に大きく左右される時代だからこそ、取り組む価値があります。