増える介護離職とNECの新たな取り組みについて

 少子高齢社会における数々の課題の中で、企業の人材支援を仕事とする小職の悩みの一つが、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」の問題です。総務省の「平成29年就業構造基本調査」によると、2016年10月から2017年9月までの1年間の介護離職者数は9万9千人と5年前の前回調査と比べてほぼ横ばいであることが分かりました。2017年1月に介護離職を食い止めるために「介護休業法」が改正されていますが、3年を1期とする第7期介護保険事業計画の今年は初年度にあたり、在宅医療・訪問介護を柱とする地域包括システムが本格化する年になります。介護事業の深刻な人手不足を考えると企業の対策は重要です。

 

 「改正介護休業法」では、これまで介護を必要とする人が家族にいた場合、1人について通算93日の「1回のみ」の介護休業が認められていました。今回の改正では日数通算93日は変わりませんが、回数が3回となり分割して介護のための休業が可能になりました。介護休暇の取得についても「1日単位の取得」の基本原則から「半日休暇」の取得も可能となり「午前中は仕事」「午後は介護」の選択も可能になりました。介護休業と別枠で3年間の間で2回以上の介護のための労働時間短縮措置や所定労働時間外労働の免除など、以前に比べ使いやすくなっています。

 それでも、平均男性約9年間、女性約12年間、家族のみならず誰かによる生活の支援や介護を要する長い期間、どのように社員の離職を防ぐこと対策を講じるかは企業の大きな課題です。

 

 

 NECでは、従業員の多様な介護のニーズをより一層対応するために週休3日を可能とする介護短日勤務制度を柱とする「仕事と介護を両立する支援制度」を本年10月から導入しました。介護の事由が解消するまでの間、あらかじめ設定した週の1日を不就労日として週3日の休日が取れることになります。介護休職制度ついても通算1年まで3回を上限として分割取得を可能とする独自の緩和策を講じています。介護のため転居が止むを得ない従業員に対して上限50万円までの「介護転居費用補助」など多くの福利厚生対策を新設しています。

 

 大手企業だからできるといわれる中小企業の経営者の方が多いと思いますが、中小企業ならではの従業員の介護支援対策も多くあります。働き方改革の進める多様な就業形態に対応する人事制度の変更や業務見直しによる新たな仕事の創出など、いざとなればアイディアがあふれ出す中小企業経営者が多いと思います。介護を必要とする人や介護をする従業員のニーズとは何か、医療・介護保険事業の今後や介護保険請求の手続き・訪問介護サービスについてなどの知識は必要となりますが、企業にとっては重要なポストにある管理監督者、人手不足の時代に対策の必要はあります。