
今年6月、参議院で「働き方改革関連法案」が可決・成立、2019年4月1日に一部法律が施行されることになり、企業の関心も高まっています。厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.63倍と44年ぶりの高水準となりました。人手不足が続くなか、働き方改革の取り組みは人材の採用や定着、育成ともに業務改善、投資やイノベーションに向け今後ますます重要になると考えられています。そのような中、帝国データバンクでは、8月に「働き方改革に対する企業の意識調査」を実施、全国9918社から回答を得て、調査結果を公表しました。
働き方改革の取り組み状況では、「取り組んでいる」(37.5%)、「現在は取り組んでいないが今後取り組む予定」(25.6%)と6割以上の企業が取り組みに前向きな結果になりました。反面、「取り組む予定はない」(15.1%)とする企業もありました。取り組みの具体的内容は、労務・人事面の「長時間労働の是正」(79.8%)が最も高く、「休日取得の促進」(68.1%)が続き、「人材育成」が56.3%となっています。業務改善(生産性向上)では「業務の合理化や効率化のためのIT・機械・システムの導入」(21.5%)、経営・事業では「従業員の理解を得ること」が高かったようです。

働き方改革の導入の要因は、少子高齢社会の進行に伴う労働力人口の減少、将来の継続的「人手不足」見通しがあります。1990年代の共働き世帯と専業主婦世帯の逆転から今日まで、家庭生活の仕事の両立が唱えられ少子化に歯止めをかけるためにも、今までの仕事の進め方を変えていかなければならない現実があります。長時間労働の是正、年次有給休暇の促進などにより、時間当たりの労働生産性は上がってくると思われます。
そこからもう一歩進めていくには、業務改善や組織開発の分野は避けて通れないことです。課業の分担・管理やAI・ITなどのシステム導入なども有効かと思われますが、今後は「人事評価制度・賃金制度の変更・改善」を考えている企業の多くみられるようです。帝国データーバンクの調査では37.5%の企業が働き方改革の取り組んでいる回答を得ていますが、他の調査でも取り組み企業はほぼ同じ結果ですが、規模別では100人未満が17.2%と大きな差がみられます。
将来的な賃金制度の変更・改善では大手企業の職能給からの変更より、中小企業の賃金制度の改善のほうがスムーズにいきます。優秀な人材確保、また人材定着には早めの働き方改革の取り組みが必要です。