今後、活発化する転職活動

 求人情報サイト エンジャパン(株)では、転職サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象にアンケートを行い1151名から回答を得、このほど公開しました。それによれば69%の人が異業種転職を検討しており「新しい経験により自分を高めたい」理由が最多となっています。実際に異業種転職者の経験者に「よかった」と感じることを尋ねると、「スキルの向上」「視野が広がった」「仕事の幅が広がった」とする意見が、複数回答方式ですが半数以上が答えています。逆に苦労については当然ですが、「新しい知識を覚えること」「異なる習慣、業界風土に馴染むこと」となりました。異業種転職は、新しいことに挑戦する苦労以上に得るものが多いようです。

 

  1960年代に年率10%を超えていたGDP(国内総生産)成長率が、2000年代以降1%を超える程度に落ち込んでいる国内経済、GDP成長率を雇用の流動化によって、持続的な経済成長につながるのではないかという政府の期待が「働き方改革」の一つの方向性です。転職によって賃金が増加し、個人消費増大への好循環サイクルが現実のものかといえば、近年の「雇用動向調査」でも40歳代以降の人は減少することが多いようです。しかし、20歳~30歳では、転職後に賃金の増加するほうが多いようで、前述のエンジャパンの調査でも、30代の転職理由として「年収水準の高い業界に移りたい」「働く業界に拘りがない」「休日休暇など時間的待遇を改善したいから」などが上位に挙がっています。

 

 

 昨年3月、政府は働き方実行計画を決定しました。その柱とされるのが「残業時間上限規制」であり「同一労働同一賃金」の2つの施策とされますが、それ以外の多様な事柄が組み込まれていることに気づくと思います。転職・再就職者の採用拡大に向けた指針策定や副業・兼業に向けたガイドライン策定など、「同一労働同一賃金」を基盤とした仕事給への転換とダブルワークを可能とする正規・非正規の賃金等の均等・均衡処遇改善の実効性を確保できれば、「雇用の流動化」は確実に可能になります。

 

 「雇用の流動化」により生産性が向上し、政府が描く持続的な経済成長のシナリオについては懐疑的意見も多くあるようです。しかし、従来の電産型賃金制度のもと「人基準」で「会社に在籍していれば、努力せずとも給与が上がる」・・「日本の労働生産性が落ちている原因では・・」という疑問が、政府の進める改革のようです。「仕事基準」で能力のある人は、どんどん転職を重ねて仕事に見合った給与を受け取ることで、経済成長につながる人材の育成が可能であることは確かだと思います。中小企業で人材を募集しても人が集まらない理由の一つとして「キャリアパス」を描いていないことがあります。休職者に対して10年後、20年後の役職や給与などの人材処遇について話をされていますか?若者の「大手企業志向」は給与や職業能力開発に将来の展望が持てるからです。

 「同一労働同一賃金」「長時間労働の是正」、この二つの動きに連動した企業経営が望まれそうです。