子育て世帯の就業支援について

 深刻な少子化の進展に伴い、子育て問題に対する国民の関心も高まっています。出産費用のほぼ全額助成、乳幼児医療費の無料化、育児休業制度の充実等、子育て世帯に対する社会支援も着実に強まる方向に進んでいますが、今どきの子育てが昔に比べて「楽になった」「ゆとりが持てるようになった」などポジティブな評価は、母親からほとんど上がってきません。労働政策研究・研修機構では「子育て世代のディストレス」と題した調査報告書、「女性の活躍促進に関する調査研究プロジェクト」と題する研究報告書を公開しています。労働力減少期の女性の働き方について、参考になる資料かと思われます。

 

 女性の就業という視点から見ると、結婚や出産を分岐点として仕事をやめる、続けるまたは出産後の再就職の有無など男性よりライフコースは多様にならざるを得ない環境にあります。「第1子出産前後の就業状況」についての調査結果の大まかな傾向になりますが、出産前後から多くが正社員である「正規群」では、出産1年後には80%、3年後には83%の人が引き続き正規として働く傾向にあります。出産前後では、54%が非正規、36%が正規であった「非正規群」グループでは、確率的に出産1年後にはその半数が、3年後には4分3が就業し、その地位はパート、契約・派遣社員等になっています。

 

 

 育児休業から復職の条件として保育所の入所が前提となることが多いのですが、夫婦とも正規群に位置する家庭では、子供の世話・家事援助について夫以外の援助者が人的サポートが必要である現状が調査結果から垣間見られます。夫以外の援助者がいないと正規就業での継続が難しくなりますが、この傾向は「正規群」では有意で、パート等で働き始める場合は援助者の有無が影響しているとはいえないようです。いずれにしても復職に際して、母親の就業継続・子育てを巡るディストレスが窺えます。ディストレスとは、ストレスがうまく処理できずに心身に負担がかかる状態を指します。

 

 女性が働き続けるためには、保育所や子育て支援制度の充実だけではなく、祖母世代から受け継ぐ従来型の就業慣習や祖父母の家事・子育ての援助の有無、夫の協力、自己の人的資源量などが重要な要素になると報告では示唆されています。実務面でも、第1子出産・育児の勤務面での不安解消に出産・育児に関する手続きや休職中の処遇等についてパンフレット等で説明してもディストレスには、個人差があります。子育て中の女性が働き続けるためには、勤務時間の問題・子育て支援の企業風土の醸成など様々な課題に直面しますが、正規社員、限定正社員、パートタイマーなど多様な働き方の選択肢を企業が用意することも子育ての不安とディストレス軽減に役立つものと思います。