
NTTデーター経営研究所は、2015年より実施している働き方改革の企業の取り組み状況調査についての結果を発表しました。今年の調査ではRPAなどのテクノロジーの活用やHRテックに対する意識について調査が行われ、今後の働き方改革の方向性が垣間見れる内容ではないかと思われます。働き方改革に取り組む企業は、年々増加し、今年度は38.9%となっています。ところが、企業規模でみると1000人以上の企業では62.3%の企業が取り組んでいるのに対して、従業員100人未満の中小企業では、わずか17.7%と残念な結果になっています。
業種別では、金融保険業、通信・メディア業は55%以上、情報サービス、製造業40%以上の取り組みとなっており、運輸・建設、不動産、教育・医療・その他サービス業でも31%~約34%となっています。取り組んでいる企業の40%以上の従業員が「休暇取得の推進」「働かい方改革に対するトップマネジメントの発信」や「労働時間の見える化」などの実施内容について継続を要望しています。改革を取り組むうえで「就業時間外の同僚・上司からの緊急性のないメールや電話の対応あり」30%以上の人が対応せざるえないと答えており、社内コミュニケーションや会議のありかた、ルール化の検討が必要としています。

働き方改革に取り組む企業の従業員の半数異常がコミュニケーションツール、プレゼンス管理ツールやタブレット端末を導入していると回答しています。具体的には、「電話会議やWEB会議等」の電話以外の音声・映像ツールや、ビジネスチャットやLINEなど電子メール以外のテキストによるコミュニケーションを活用しています。
税務や社会保険などの申告・申請など、行政への手続き関係も「働き方改革」の必要性から電子申請化へ向いています。私の事務所でも、マイナンバー送付や就業規則作成、変更などの打合せや書類のやり取りなど、情報漏洩リスク防止の観点や働き方改革から、信頼できる大手企業のクラウド型システムを活用しています。「生産性向上」が求められる企業は、テクノロジーも活用は避けられないと研究所は結論を導いていますが、私もそう思います。
AI導入による人事労務におけるテクノロジー活用は、半数以上の人が、わからないなど具体的なイメージや効果について理解が進んでいないようでこれからの課題となりそうです。「労働時間の総量規制」など時短に取り組む企業は多いようですが、時間で働く企業で、もともと労働時間が少ない層では、「給与を増やしたいので残業を増やしたい」月160時間以上の層では「給与が減ってしまうのは困るが労働時間を減らした」と回答しています。成果に基づいて報酬が支払われる企業では、「働き続けたい、どとらかといえば働き続けた」を合わせた78.1%が成果主義で働きたいとこたえています。成果主義で働いていない人の30.4%の人も成果主義で働きたいと回答しています。「働き方改革」の本旨からも、成果をきちんと定義し、サポート体制を作りながら成果に基づいた働き方の検討、施策を行う価値は中小企業だからこそあると思います。