急増する人手不足倒産!

 さまざまな業界で人手不足を訴える企業が増える中、帝国データーバンクでは、従業員の離職や採用難により収益が悪化したことを要因とする倒産(負債1000万以上、個人事業含)を「人手不足倒産」と定義し2013年より集計・分析しています。

 2018年(1~6月)では、70件発生し件数では3年連続で前年同期を上回り、調査開始以降、半期ベースで最多となり年間合計でも最多となりそうな勢いです。業種別では「サービス業」が最多の19件で前年同期比26.7%増加となり、調査開始以降の累計でも「道路貨物運送業」「老人福祉事業」「木造建築工事」と人手不足の苦しむ業界が上位になっています。

 

 業種別の倒産要因として、「道路貨物運送業」では景気回復や通販市場の拡大など配送需要が高まってもドライバーの確保が追い付かず新規受注難から指揮繰りの悪化をまねくケース、「老人福祉事業」でも、スタッフの確保が追い付かず十分な介護サービスが提供できなかった理由などがあります。「木造建築工事」では、施工現場での職人不足による受注減や外注費の増加など理由となりますが、人手不足に陥る企業の特徴として勤務する中間管理職の離職に端を発しての離職連鎖が多くみられます。「人手不足」は企業にとって大きな問題ですが、労働者にとっては「転職バブルの到来」で給与アップの機会でもあり、政府がすすめる「働き方改革」の目指すところでもあります。

 

 日本の賃金制度の特徴として「人基準」を源流として幾たびかの改定の試みはありましたが、成功例が見いだせない状態です。勤続を昇給昇格の考課要因とすれば努力せずに給与が上がる仕組みですので、職業能力を磨こう、実績を出そうと気概が乏しくなるのが当然です。欧米での賃金制度は、「仕事基準」で能力があれば転職を繰り返すことで高収入が得られます。そのためには雇用形態(パート・正社員)で待遇格差・不利益を受けない制度が必要となり、そのモデルとされたのが「EU指令」です。

 

 今後、中小零細企業での人材確保が企業経営を大きく左右する要因でもあり、職場環境整備の努力や企業の目指す方向性を社員に示されるかなど、経営者の力量が試される時代です。大手企業との賃金格差を埋めることよりも、いかにして家庭と仕事を両立して働きやすい職場をめざすことが大事です。「働き方改革」でも、職場環境に整備としてさまざまな施策を提案されていますが、この大改革の基本的な柱である同一労働同一労働は「賃金体系の仕事基準化」「労働力の流動化による生産性向上」が目標ですので、大企業が二の足を踏んでいる「賃金制度改定」をいち早く進めた企業が将来に向けて人材の確保ができます!