ハマキョウレックス事件と賃金制度

画像;渋滞する高速道路

 6月1日、非正規労働者の待遇格差を巡る裁判(ハマキョウレックス事件)の最高裁判決が言い渡されました。契約社員やパート、嘱託社員などのいわゆる非正規社員と正社員との不合理な待遇格差を禁じる労働契約法第20条(以下、「労契法」)を巡る裁判で、手当の格差について「一部・不合理」とする判断を示しました。正社員と非正規社員では、就業規則が別個に作成されていましたが、労契法20条に違反する場合でも、正社員の就業規則と同一になるものではないと、地位確認請求は退けられました。

 

 今回の判例では、労契法20条に定める不合理判断について、正社員に支給される手当について非正規社員を不支給とするのは違反として、高裁にて認定された4手当と新たに「通勤手当」について高裁判決を破棄し、差戻しました。労契法20条では「職務内容(業務・責任)」「職務内容・配置(人材活用の仕組み)「その他の事情」を考慮して判断することになっていましたが、今回の判決で業務・責任と人材活用のしくみに違いがあった場合でも、均衡待遇は求められることが示されました。支給に合理的な理由がなければ、非正社員にも手当など支払う必要がありますし、支給内容に方向性・合理性を持った賃金制度でなければ裁判で負けることがわかりました。

 

 

 そもそも日本の企業では、正社員は職務遂行能力、パート含む非正社員は世間相場と賃金決定の基準が違うのが、手当等に矛盾がでるのが当然です。ここを直すとなると繰り返された日本の電産型賃金体系をリメイクするのではなく、仕事基準の新たな賃金制度に組み替える必要があります。当初から「同一労働同一賃金」は、欧州のモデルを参考にしているので、将来的には業種別の企業横断的な賃金相場が形成されると思われますが、当面は企業を中心とした「仕事基準」の賃金制度の構築が優先されるものと思われます。

 

 今後の人材不足や働き方改革に進捗に伴い、人件費は増加傾向になりますので、生産性の向上・職務分担・業務改善・組織開発に着目した新たな賃金制度を作る必要があります。欧州のように産業横断的な労働市場構造になっていないので、引き続き企業内教育制度は必要ですし、キャリアアップを目指した賃金制度が理想です。今回の最高裁判決を受けて、賃金決定の基準は社員、限定社員、パート・嘱託社員が同じ賃金表を使い、役割に応じて賃金差をつけるのが良いと思います。そもそも戦前の日本は「仕事基準」の賃金体系で外部労働市場型、雇用の流動性も高かったそうです。21世紀に入って、戦後・昭和の日本型賃金制度は時代に合わなくなったようです。