人材不足時代のシニア戦力期待

 国会で審議中の「働き方改革関連法案」には、少子高齢化による労働人口減少、人手不足を見据え高齢者雇用の制約要因の減少など高齢者活躍のための法案も多く含まれています。この方向性は、人手不足に悩まれる中小企業・小規模事業者の人手不足のチャンスと取られてよいのではないでしょうか。平成29年高齢社会白書によりますと、労働力人口に占める高齢者の比率は上昇をつづけ、平成28年の労働力人口6,673万人に対し、65~69歳450万人、70歳以上336万人で労働力総数に占める高齢者は11.8%となっています。

 

 現在仕事をしている高齢者の4割は、「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答を合計すれば約8割が高齢期であっても高い就業意識をもっていることがうかがえます。リーマンショック以降の数年間は、特に60~64歳の完全失業率は上昇していましたが、2016年以降は15歳以上の全年齢計と同水準になっています。今後、人手不足からシニ活用が注目されることは予測できる同時に、働き方改革においても2020年まで65歳定年引上げ、70歳までの継続雇用義務が予定され、シニアの求人市場でも不足感が高まると思われます。

 

 

 高齢者の希望する働き方は「非正規雇用」が7~8割、月収は10万円未満、減り続ける公的年金の生活資金補完の意味合いでやむなく働くという側面もあることは歪めないと思われます。ある国内企業では、2013年「65歳定年制」を導入、60歳からの役職定年制により、「理事コース」「メンターコース」「生涯現役コース」の3つのコースに分け、各人に期待される役割を明確にしたそうです。現役世代の期待とシニアは企業からの必要性を実感して、人材の好循環が生まれているそうです。

 

 これからの中小企業が考えなければならないのが、当面60歳から65歳までの5年間の雇用者処遇です。前出の企業例で考えると、60歳以降の役割期待から大きなパフォーマンスを生まれる「仕事ベース」の処遇に変えるべきです。定年退職後は年金生活という戦後スタイルが、今後の日本で通用するかといえば悲観的にならざるを得ません。高度成長期の日本型経営(3種の神器)が崩壊した現在、「組織内自営業的働き方」に回帰していかざるを得ません。企業はシニアの働き方を単純、反復的な仕事に就けることだけではなく、持っている能力を有効に企業戦力として活用することが企業成長の一歩です。