
今月9日、経済産業省から「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」の報告書が公表されました。高齢者介護に関しての所管は厚生労働省ですが、経産省では日本の生産年齢人口の減少に伴い各産業では深刻な労働力不足を招く可能性があることを危惧しています。この流れは、高齢化に伴い需要増加が見込めれる介護サービス分野において顕著で介護サービス不足が、家族介護を理由とした離職を招き、各産業における労働力不足に拍車をかけるとしています。
具体的な検討の方向性としては、社会参加を中心とした介護予防の促進を一つの柱として、介護サービスにおける高齢者を中心とした就労促進(人材確保)の方策を検討するとしています。高齢者が参加したいと思うような社会参加の場、サービスの開発を民間事業者などの民間活力を活用したコンテンツ、新事業の創出などが提案されています。地域の社会参画の場やサービスの一元的情報提供ツールの構築など、議論は始まったばかりで今後の対応に期待するところです。

研究会において、全国老人保健施設協会の東会長より「元気高齢者の介護助手事業について」の説明がされたようです。2025年に向け現状の推移でも37.7万人の介護従事者が不足するといわれておますが、各産業の労働力不足現状では確保自体が困難と思われます。そこで、元気な高齢者に、業務の細分化して比較的単純な作業分野のお手伝いいただこうというのが事業の趣旨になります。このことで専門分野の介護職員の質的向上と専門性を活用できるであろうとする事業です。
これは私が、介護事業所において職務の細分化と分担に関する実務研修で、昨年まで実施してきた内容です。気をつけなければならないのが、職務の細分化と職務要件定義、難易度の設定です。介護事業では多くのサービスが提供されますが、その多くは未経験の高齢者にはサービス一体としての提供は不可能です。細分化して腰痛などの労働災害を招かないようロボット活用などの検討も必要になりますし、業務マニュアルなどの整備などができれば大いに期待できる事業です。福島県はすでに事業を展開しているようですので期待したいと思います。