春闘から見る中小企業の雇用対策

 連合は4月6日、2018年春闘の第3回回答集計結果を公表しました。従業員300人未満の中小企業が300人以上の企業を賃上げ率で上回る結果となりました。単純な比較はできませんが、ベースアップなどの賃上げ率の明確な1643組合で、300人以上が額1681円(率0.54%)、300人未満では額1570円(率0.62%)となり、中小企業が働き手不足の現状から、賃金水準にこだわって交渉を進めている結果とみています。「働き方の見直し」でも、長時間労働の是正うあ均等待遇に向けた取り組みなどで前進回答がみられています。

 

 非正規労働者の時給引き上げ状況では、単純平均賃上げ額で25.67円となり、平均時給は単純平均で989.90円となっています。今回の集計では、すべての労働者の立場にたった「働き方」の見直しに関する取り組みについても、要求と回答、妥結状況をまとめています。長時間労働の是正の関する取り組みでは、「36協定の点検や見直し」について、1388件の要求があり、618件が回答、妥結しています。「時間外・休日割増引き上げの取り組み」640件の要求、81件の回答、妥結を得ています。「無期転換の促進、ルールの周知徹底、雇い止め防止」1210件の要求、674件の回答・妥結など職場の均等待遇実現に向けた取り組みでも一定の前進が図られています。

 

  従来、中小企業の賃金決定では、従業員像や働き方の違いなどから大企業との違いを意識して決定してきたと思います。よく大企業と取り入れている職能資格制度を縮小したような階級賃金制度では、中途採用社員が多い企業ではふわふわとした絵に描いたような餅のような議論になってしまいます。とはいえ「同一労働同一賃金」に向けた政府の働き方改革の方向性を考えると、中小企業だから無理ではなく、従業員の納得のいく賃金制度に転換しなければ、ますます人材の確保が困難になっていくと思われます。

 

 今回の春闘でも顕著に表れていることは、多くの中小企業で意図的、積極的に賃金水準を見直しはじめていることです。加えて、36協定の点検や見直し、割増賃金水準の見直しなどの「働き方」の見直しにも着手し始めています。気をつけなければいけないのは、単に労働時間の短縮だけに目を向けてしまうと結果的にやりきれない仕事が山積することになり従業員のストレスにつながります。まずは、現在の「仕事の見える化」に取り組み、「ムダ・ムリ・ムラ」の見直しを進める必要があります。フローチャートや業務記述だけではなく、ユースケースなどさまざまなツールがありますので、多様な方向性から検討されることをお勧めします。