働き手不足時代の雇用の変化

画像;自転車置き場

 この度、労働政策研究・研修機構(JILPT)

では多様な就業実態に関する政府統計である「就業形態の多様化に関する総合的実態調査」(平成15年~平成26年の過去4回)の個票データーの再分析から将来的な影響などを検証する報告が発表されました。様々な「雇用の多様化」に進展がみられる中、契約社員、派遣労働者、パートの非正規形態が3つとも活用されている事業所はごくわずかで、パートのみ活用されているの事業所が全体の半数程度、以外は一つまたは二形態を活用している事業所はわずかという結果が見えました。

 

 企業の従業員全体に占める3つ非正規形態で、将来の雇用影響について興味ある予測をされています。「契約社員」は教育・学習支援業、社保・福祉・介護などの業種で活用されることが多いようですが、臨時・季節的業務量の変化や雇用量調整、賃金の節約などの理由が多いようです。良質な人材確保、仕事の責任感維持がプラス傾向として動くようです。「派遣社員」情報通信業や金融・保険業に活用が多く、長い営業時間・景気に応じた対応のためや正社員の重要業務の特化などが挙げられます。良質な人材の確保が見込まれているようです。「パート」宿泊・飲食サービス、小売業などのサービス業に多く、営業時間や景気に応じた雇用量の調整として活用されることが多いようです。マイナス面の課題として、正社員との人間関係や職務分担が挙げられます。

 

 

画像;田舎の駅

 勤続年数別の賃金推移では、パートの活用度の高い宿泊・飲食業、小売業で勤続とともに賃金が上がる傾向がみられ一定の就業環境の整備進展が窺われました。多様な形態で働く人々の仕事満足度は平成26年では総じて上昇がみられ、仕事のやりがいや職場の人間関係、スキルアップの機会など人間の成長を感じられる働き方の提供が「職業生活の満足度」につながると考えられるようです。子育て中の女性が不完全就業となる要因は、やはり育児負担があり軽減化、就業促進のための社会インフラ整備が重要になってきます。正規・非正規の賃金格差について特定の産業・職位で縮小傾向がみられるものの、全体としては大きな変化がみられないようです。

 

 事業所全体として約半数がパート活用をされていますが、平成15年から平成26年まで、福利厚生施設等の利用や昇進・昇格、正社員への転換を中心に進展がみられます。一方、賞与支給については近年の人件費高騰に影響があるのかはわかりませんが、適用割合に低下傾向がみられます。働き方改革の柱となる「同一労働同一賃金」の推進は取り組むべき課題ですが、非正規で働く人の異なるニーズを賃金の格差是正のみならず福利厚生を含めた企業の身の丈にあった処遇を用意する必要があります。同一労働の定義についての慎重な検討など、少子高齢時代にあった処遇のニーズにこたえられるような環境整備が必要であることが、今回のJILPT発表からもうかがえます。