宿泊業の人手不足対策について

 宿泊業は若者の力が不可欠な業界ですが、宿泊・飲食サービス業の新卒者の3年以内離職率が

全産業の中で最も高く、50.2%と全産業平均32.2%を大きく上回っています。(平成28年雇用動向調査:厚労省)離職率の高い課題としては、休日日数が少なく連続した休みがとれないことや宿泊業特有な夜勤や早朝シフトなど長時間労働をせざるを得ない過酷な勤務体制にあるようです。仕事だけではなく生活も重視しできる働き方を希望する若者が増える中、彼らの要望に応えることが宿泊業に課せられた課題ではないでしょうか。

 

 とは言っても具体的な経営課題として、施設の老朽化や宿泊単価の低下、資金不足など設備投資の必要性を意識しながら対応が困難とする事業者が多いとする調査結果もあります。震災以後、年間宿泊者数を年々増加傾向にありますが、業界労働者数はほぼ横ばいにあり仕事の増加に人手が追いつかない現状のようです。しかし、宿泊者が予約の際重視することは「宿泊料金」「食事内容」「部屋の内容」などの全体的なバランスがとれていること、コストパフォーマンスの高い施設が望まれます。顧客の高い品質サービス提供の期待に応える企業の対策は従業員一人ひとりの就業意欲、サービスマインド、スキルを恒常的に高めることだと思います。

 

 

 今後、日本では労働力人口の減少が確実なために解決策の一つとしてAIやロボットの活用を検討する業界が増えています。これは宿泊業も例外でなくハウステンボス社のロボットをフル活用した「変なホテル」などは話題になっています。箱根の老舗旅館では、自社のホームページでAIを活用した予約システムで予約が急増した成功例やFAQデーターによる顧客ニーズのサービス向上に大きな成果が実例として紹介される記事も増えています。人手不足の時代、予約管理や接客にかかわらない業務を対費用効率の優先順位から、テクノロジーで解決することも必須になっていくと思われます。

 

 接客業である宿泊業において効率や自動化には限界があり、宿泊客が求めるものは人間によるサービスの提供、マインド、スキルに価値ではないでしょうか。これはAIやロボットに代替できるものではなく、そのために業界として、企業としてできることは離職者を減らし、業界の仕事に興味を持ってもらえる人を増やすことです。成功している多くの企業では、長時間の勤務シフトの見直しなど勤務体制を見直し従業員の定着やモチベーションの向上に努めています。「労務管理」「福利厚生」「待遇の見直し」などの働きやすい職場の実現が人手不足の対策です。結果として人手不足の本質的な対策は、実情にあった職場環境の向上という正攻法なのでしょう。