65歳以降の就業促進と企業対応

画像;駅の改札

 先日、政府が新たな高齢社会対策大綱として、65歳以降も長く働き続けてもらい経済の支え手として活躍できるエイジレス社会を目指すことを宣言しました。公的年金の受給開始年齢の選択制や高齢者の起業支援などが盛り込まれるようですが、当事務所にも65歳以降の継続雇用や中途採用の質問・相談など、近年の「働き手不足」から一つの対策として検討を始める企業様が増えています。ハローワークの求人申し込みでは、特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)対象として65歳以上の中途採用を積極的の推進していますし、来年度の助成金制度でも、継続されるのことで話し合われているようです。

 

 総務省の労働力調査では、65歳以上で働く人の7割以上が非正規社員で自分の都合の良い時間に働くことを希望する社員が多いようです。労働政策・研修機構の2015年「60代の雇用・生活調査」では、65歳以降の継続雇用で労働条件や健康面などで何らかの基準を設けている企業が5割を超えているとの調査結果が報告されています。65歳以降に雇用される社会を形成するためには、継続雇用あるいは中途採用による労働市場は、企業の雇用管理の在りようによって決定されるもの面が大きく、企業が必要とする知識や能力など将来に向けた議論が活発化すると思われます。

 

 

画像;企業のビル写真

 65歳以降の高齢者雇用を高めるためには、賃金制度の変革は避けて通れない問題です。前述の調査でも、高齢者の職歴による企業内部の継続雇用と外部労働市場からの中途採用では、労働者の望ましい働き方に差があると考えられますが、仕事に対する満足度と賃金には両者の大きな違いがないようです。継続雇用では60前後の仕事内容の変化、中途採用では過去における職務能力分析など関連要素の検討が仕事満足度を高めるために必要とされています。特定求職者雇用開発助成金や65歳以降の雇用保険料免除など政策の目指す方向性は、すでに示唆されていますので、今後、企業の対応が求められるかもしれません。

 

 今後、政府が目指す65歳以降の希望者全員が雇用されることになれば、企業の雇用管理が大きく変わることになります。希望者全員ではないにしても、将来的な高齢者の雇用管理の姿は検討課題として、現在の働き手不足に対応する高齢者の働き方と賃金の決定も多くの課題があります。自分の都合の良い時間、短時間労働を条件とする事例が多く、職務等について企業の要望と労働者の能力、賃金は必ずしも労使双方の「望ましい働き方」を満たすとは限りません。継続雇用と中途採用によって、仕事満足度や賃金を規定する要因は違ってきます。現在は個別対応が主ですが、賃金は企業としてどのような人にどんな仕事をしてもらうかの決定が重要な要素です。