ストップ!・・残業ありきの働き方。

画像:駅のタクシー乗り場

 今国会でも注目の働き方改革の残業時間の規制法案です。通常期は従来の月45時間として、繁忙期は月平均60時間を超えないことを前提の月100時間を上限とする内容です。野放し状態の、特別条項付き36協定から考えれば改善とする意見もありますが、繁忙期の100時間は過労死ラインと言えます。月45時間、年間360時間の残業時間についても考えてみれば、家族にすれば平日はほとんど一緒に食事がとれない状態で、会社も働く人も当たり前のように受け入れています。欧米では考えられない日本人に働き方・・本当にこれでよいのでしょうか?

 

 最近、注目されているのが社員7人の町工場「吉原精工」の吉原会長が書かれた「町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由」(ポプラ社)です。1980年創業、順調な経営から繁忙期は月80時間の残業が当たり前の今なら「ブラック企業」から、3度の倒産危機を乗り越えて実行した働き方改革の実話です。倒産危機のたびに苦渋の選択でリストラを進めながら融資を受けてきたのですが、2008年のリーマンショックはさすがにリストラをせずに社長含め全員が月30万円で乗り切ろうとしたそうです。お金がないのなら時間をくださいとの社員の声に残業ゼロの働き方改革を推し進めたそうです。

 

 

画像;夜の公衆電話

 定時で帰る前提のもとで仕事をすれば、無駄な仕事をなくし効率的な仕事をするのでは・・という社長の期待は現実のものとなったようです。社員たちは時間を有効に使い、常に効率化を考えて作業するようになり、前段取り含め的確に自分で判断して、上司の指示を待つことも減っていったそうです。情報の共有化が進み、仕事のブラックボックスは解消し、仕事のミスも激減、仕事の質的な向上も図れたそうです。吉原氏が言われる人事制度上の大事な取り組みは、給料を今まで支払っていた残業代と同じ水準を基本給に組み込むことだそうです。

 

 これは、私も同感です。以前、行政より長時間残業の「是正勧告」を受けた企業様より、労働時間改善のコンサルタント、是正報告に関する行政対応を依頼されたときに同様の対応を講じました。いきなり残業をなくすのではなく、100時間の残業を30時間以内にするように業務を見直し、達成水準に見合った給与水準に徐々に変えていき、ほぼ残業なしを目指すことは可能です。残業ありきでの給与水準を考えているのは働くほうも一緒で、ほぼ同様の額であれば、自ら働き方を変えていきます。企業にとっても働き手が不足している状況で、最優先で取り組むべき事項と思います。

 

 蛇足ですが、この会社の社員さんの一人から「残業を減らすことできるんですね。・・・ただ私、勤務中にコーヒーを飲む時間がなくなりました」・・との声も・・。