
人手不足感が強まり、長時間労働是正が求められるもとで、日本の経済の成長率を維持・強化するためには、女性・高齢者の活躍推進などの労働力強化、労働生産性の向上が重要視されています。そんな中、日本銀行は1日、企業ヒアリング等を通じた各地域の経済金融情勢に関する調査結果を取りまとめている「地域経済報告」(さくらレポート)の別冊として、「非製造業を中心とした労働生産性向上に向けた取り組み」を公表しました。
労働生産性向上に向けた企業の取り組みは、全体として積極化しているようで、その動機は以下の2点に整理できるようです。
1、人手不足感の強まりと、そのもとで賃金上昇圧力を、労働生産性向上
で吸収しようとする動き。
2、各種の環境変化に直面する中で、長中期的・戦略的な視点で労働生産
性、ひいては収益力向上に取り組もうとする動き。
具体的には以前にもこのブログで書きましたが、労働投入量(分母)の節約と付加価値額(分子)の増大になります。

労働投入量の節約として、小売業のセルフレジ等の導入、飲食業のPOSレジシステム導入など多様な省力化投資が行われています。技術革新に伴う省力化の動きは、人手不足感・人件費上昇圧力の高まりを背景に、機械化の遅れていた中小・零細の非製造業にも広がりを見せています。また、付加価値の増大に結びつきにくい業務の縮小・廃止や従業員の働き方の見直しを通じ、長時間労働是正と業務の向上の両立を目指す動きが活発化しています。
付加価値の増大に向けた動きとして、比較的新しい市場(ブルーオーシャン)を中心に、新たな商品・サービスをはじめ、収益率の高い分野へのシフト移転の動きが活発になっています。今後の見通しとして、多くの企業では人手不足感や賃金上昇圧力の高まりでも販売価格に転嫁しにくい状況が続くも、先進各国との生産性格差、近年の技術革新により生産性向上自体の余地は大きいと考えているようです。将来的にもも省力化投資やビジネスプロセスの見直しなどの動きが続くと思われますので、競合社との差別化のためにも自社に適合した取り組みが必要と考えます。