副業・兼業に関する就業規則等の企業対応について

画像;横断歩道と出社風景

 厚生労働省は20日に開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会」資料をHPで公表しました。副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)のほか、モデル就業規則の改定(副業・兼業部分)の方向性等が示されています。副業・兼業を希望する人は年々増加傾向にありますが、7割以上の企業で副業・兼業を禁止しているのが実態です。副業・兼業の明確な定義はありませんが、労働者自身の主たる職務以外に、フリーランス、アルバイトなどの従属的な仕事につくことを指すようです。副業・兼業を行う理由としてやりたい仕事であることやスキルアップ、資格の活用など様々です。

 

 企業が、副業・兼業を認めない理由として、社員の長時間労働・過重労働の助長が最も多く、次に情報漏洩リスク、労働時間の把握・管理の困難であることを挙げています。今回の検討会における副業・兼業の議論は社会全体のオープンイノベーションや起業の手段としての有効性の観点から

推進の方向へ進むものと考えられます。今後、増加すると予想される副業・兼業は会社員が終業後にコンビニでアルバイトをするなどの「雇用型」ではなく、「委託型」のフリーランス的な副業を持つ会社員が増えるということが考えられます。

 

 働く人にとっては、働き方改革で、残業減少の傾向がますます強まる中、主体的にキャリア形成する機会が増えることになります。企業にとっても、社内では得られない知識、スキルの獲得につながり、副業・兼業を認めることで優秀な人材の流出を防げるメリットがあります。企業にとって「ジョブ型」の人材活用の仕組を作る事で、様々な可能性が創出される期待があります。

 

 副業・兼業を導入には留意点があります。企業にとって肝心な終業時間の把握・管理、健康管理の対応、職務専念義務、秘密保持、競業避止義務などの就業規則の改定手続きについてですが、今後、厚労省からモデルがでるようです。また、労働者にも業務内容、適正な時間に管理が求められ、自己申告による報告ツールなどもひな形として提供されるようです。その他、雇用保険の適正な運用、社会保険の適用関係などの課題もありますが、この制度の申出をする社員は自己管理ができる優秀な社員と考えられますので、間もなく迎える副業・兼業が当たり前の時代に備える必要がありそうです。